情は、いつもの顔ではな い。
ヒロは美嘉の頭を 自分のモノへと近付ける
何を望んでいるか なんとなくわかるよ。 でも…
初めてなのに。
手を縛っていたタオルがヒロによってほど かれる
「早くしろ。別れてぇのか?」
おそるおそるチャックに手をかけ、 命令通りに従った。
こんな形で
こんなことするとは思わなかった。
でもね 別れたくないの。
今日一日命令に従えば 付き合ってくれるんだよね??
また前みたいに 戻れるんだよね…??
人は美嘉のことを バカみたいって言うかもしれない。
でもね、 これがもう一度付き合うことの出来る唯一 の方法なんだ。
今はこうするしか ないんだよ…。
美嘉の目から涙が一粒零れ落ちた時 ヒロは美嘉を後ろ向きにさせその状態のま まぐいっと挿入した。
いつもみたいに手を握ってはくれない。 キスもしてくれない。 二人の吐息が重なることはなく
ただ欲望を満たすためにひたすら動かすだ
け。
愛が感じられない。 ヒロと一つになれるのはすごい嬉しいよ? でもね
なんか違うの。
優しくない。 温かくない。
唇を噛み締めながら 終わるのをただひたすら待った。
全てが終わり、 裸のまま布団の中で体をまるめていた。
さっきまでの勢いはどこかに消えてしま い、
虚しい気持ちのまま服を着る。
ヒロは上半身裸のまま近くにあったライタ
ーで煙草に火をつけ、 音をたてて白い煙を吐き出した。
ヒロ、 煙草吸うようになったんだ。
しばらく会わないうちに目まぐるしく変化 した状況に
心がついていかない。
「根性焼き」 吸っていた煙草を差し出すヒロ。 根性焼き…。 火のついた煙草を腕に押し付けて火を消す
行為。
ヒロの腕には根性焼きの跡がたくさんあ る。
「別れたくねぇならしろよ、根性焼き」 ヒロの言葉に
もう驚きさえも感じなくなっている。
今は何よりも別れたくない気持ちで頭がい っぱいで、
そのためには命令に従わなければならな い…。
ただそれだけのこと。
ヒロの手から煙草を奪い 指をグーに握りしめながら手首の辺りに煙
草を押し付ける。
???? 熱い。
痛い…。
その瞬間、 ヒロが美嘉の手から煙草を奪い床に強く投 げ飛ばした。
「お前何マジでやってんだよ!?」
ヒロは乱暴にドアを開け部屋を出て行って しまった。
しばらくしてヒロは 消毒液とガーゼを両手に抱えて戻って来 た。
じゅくじゅくした火傷の部分に 消毒液を静かに垂らす。
「お前バカだよ…何やってんだよ」 ガーゼをテープで貼り付けた後、
頭をかかえながら冷たい口調で言った。
「今日はもう帰れ」 乱れた髪を整え、
帰る準備をする美嘉。
「ヒロまた付き合ってくれる…??」 ヒロは
背を向けたまま頷いた。
「じゃ…」 家を出て帰り道を歩く。
いつもなら送ってくれるのに。 そんなの甘えすぎなのかもしれないね。
でも でもいつもは…。
ヒロともう一度付き合えてすごく嬉しいは ずなのに…
いつものヒロじゃなかった。 会わない間何があったの??
ため息は風に乗ってどこかへと運ばれてい ゆく。不安な気持ちが高まるばかりだ。
「…美嘉?」 後ろから聞こえる名前を呼ぶ声に少しの期
待を抱きながら振り向く。
追い掛けてくるはずないのにね…。
声をかけてきたのは
高校二年生になって同じクラスになった?? ?だ。
???には失礼な話だが、 少しがっかりしてしまった。
「何やってんの?」
「別に…」
そっけなく答える。 ???は隣の席になった時仲良くなった男友
達だ。
ノリが良くて、 女友達のように気が合う
「大丈夫か?なんか不安そうな顔してるけ ど」
こんな今だからこそ、 ???の優しさが今すごく心に染みわたる。
「彼氏と別れそうになっただけだよ…」 ???はその言葉を聞き、ケロッと笑いながら
答えた。
「俺もフラれた?」
「マジで??嘘だぁ」 美嘉は???に
疑いの目を向ける。
「本気!彼女浮気してたうえにフラれ た~!」
「それはきついね…」
フラれたと聞いて親近感がわき、 立ったままお互いの恋愛事情を暴露しあっ た。
???は美嘉の話をじっくり聞き、 美嘉も???の話をじっくり聞く。
恋愛は人それぞれ。 一人一人違う。
「俺達友達だろ?いつでも相談しろよ!」
「???もねっ?」 ???は最高の男友達。 ???の時みたいに失いたくない…。
家に帰り何もする気が起きなくて部屋でボ
ーっとしていた。
でも ???に話を聞いてもらったおかげで少しス ッキリした。
ヒロとも戻れたし 明日から頑張ろう!!
そう前向きになっていた時…
????????????
p メール dx 受信:ヒロ ヒロから届いたロングメール。
嫌な予感がする…。
唾をゴクリと飲み込み、受信 box を開いた。
《家着いたか?今日俺の命令を聞いたらま た付き合うって言ったけど、やっぱり無か ったことにしてほしい。別れよう》
なんで?? もう一回付き合ってくれるって言ったじゃ
ん。
だから頑張ったの。
なのに別れる??
…なんで?
今日美嘉がヒロの家に行った時、 ヒロは冷たく言い放ったよね。
「今日一日俺の命令聞いたら付き合ってや る」
って。
嫌なことも…した。 根性焼きも。
いつものヒロと違って怖かった。 だけどね、
美嘉にとってはヒロと離れてしまうことの ほうが怖かったんだ…。
今日言ったことは 全て嘘だったの??
今日したことは 全て無駄だったの??
放心状態のまま phs を手に取り、 ヒロに電話をかけた。
????????
『…おぅ』 絶対に出ないと思っていた。
しかし予想外にもヒロは出たのだ。
『……冗談だよね??』 ため息混じりに
答えるヒロ。
『冗談じゃねぇよ』
『だってもう一回付き合ってくれるって言 ったもん……嘘ついたの??』
声が震える。 体も震える。
心の中で 繰り返されている。
━別れたくない… 別れたくないよ━
『あの時はまだ考えがまとまってなくて…』 美嘉は
ヒロの言葉を遮った。
『…もう美嘉のこと嫌い??』 苦しそうな声で
答えるヒロ。
『嫌いじゃねぇよ。でももう無理』
『…なんで??』
『俺わかんねぇ。美嘉の前で女とやってた とか知らねぇし。お前だって俺のこともう 嫌いって言ったし』
『嫌いなんて嘘だよ……もうしないからご めんねって言ってほしかっただけなの…』
『俺本当わかんねー。覚えてねぇよ』
『別れたくないよぉヒロ…なんでもするか ら…本当は‥』
???? ?????????
電話はヒロによって 突然切られた。
その後何度かけても 繋がることはなかった。
ヒロどうして。 どうしていきなり??
会わない一週間の間に何があったの?? 最後に会った時
笑ってバイバイしたじゃん。
何度も何度も振り返ってくれて、
「またね」 って言ったじゃん。
最近まで毎日のようにイチャイチャしてた じゃん
赤ちゃんいつか産もうねって約束したじゃ ん。
二人ともまだ 16 歳だし、この先ずっと一緒 にいるのは無理かもしれない。
だけど… こんな終わり方は
ないよ。
納得いかないよ、 ヒロ……。
ヒロとの別れを受け止めることが出来なか った。
ヒロから電話が来て、
『やっぱ別れたくない』 そう言ってくれるような気がして、 意味もなく phs を握りしめる。
その時…
????????
振動が手に響く。 電話だ。
着信:??さん ヒロの
お姉ちゃんだ。
今ヒロに関わっていること全てに 胸の鼓動が早まる。
乾いた唇を舐め 電話に出た。
『はい…』
『弘樹から聞いたよ』
『はぁ…』
『辛いよね。でも弘樹の気持ちもわかって あげてほしいんだ…』
ヒロの気持ち? 確かに????とキスしたことでヒロを傷つけ
た。
だけどシンナー吸って おかしくなって…
目の前で 他の女と愛し合った。
ヒロは覚えてないって言うかもしれないけ ど…。
それで一方的に理由もなしに別れようって 言われて、 命令聞いたら付き合ってくれるって言って いろいろやらせておきながら、しまいには 別れよう??
そんなヒロの気持ちなんてわかるはずがな い。
ねぇ どうやってわかればいいの??
喉の近くまで出た言葉達を飲み込んだ。
『別れたくないよ。わけわかんない……』 ??さんはしばらく沈黙を続け
静かに話し始めた。
『もし美嘉ちゃんと弘樹が運命の二人な ら、今別れてもまたいつかどこかで出会っ て付き合うこと出来る。今は弘樹のことは 忘れな…何かあったらあたしに電話しても いいから』
何も言い返せず 電話を切った。
この時、 初めてヒロとの別れを実感し…
phs を握りしめたまま 床に頭をつけて倒れ込んだ。
「ヒロぉ別れたくない…別れたくないよ…」
突然の 別れの理由は…??
何か理由があるなら 言ってほしいよ。
…最後の 賭けに出た。
p メール dx 送信:ヒロ
題名:ヒロへ
本文:これで最後のメールにします。美嘉は やっぱり今でもヒロが大好きです。別れた くないです。ヒロが別れたい理由もわから ない。明日の朝、ヒロとよく遊んだ川原に います。もし、また付き合ってくれる気が 少しでもあるなら来て下さい。もう全くな いのなら、来ないで下さい。その時はきっ ぱり諦めます。
美嘉より
次の日、 朝7時に家を出る。
一睡もしてないためか、目がすごい腫れて いる。
バスには乗らず 歩いて川原へ向かった。
学校へ行く気など、 全くない。
今日は一日中 ヒロを待つつもり…。
川原に到着し 草の上に座る。
川の流れる音と道路を走る車の音が交互に 耳に鳴り響いていた。
二人で見ると綺麗だったタンポポも、 一人で見たらしおれて見える。
あぁ、そっか。 川の音もタンポポも ヒロと見たから綺麗だったんだ。
ヒロがいないと何もかも色褪せて見える よ…。
【ずっと 一緒にいような】
前にこの場所でヒロが言った言葉