医者の問いに即答した。 迷いはない。 迷うわけがない。
ヒロ… 赤ちゃん出来たよ。 二人の赤ちゃん 出来たんだよ。
ずっとずっと 赤ちゃん産まれるの 楽しみにしてたもんね。
ヒロも今頃天国で
一人目の赤ちゃんと幸せそうに笑ってるか な??
きっと笑ってるね。 二人で笑ってるね。
ヒロとの赤ちゃん 産むよ。
…絶対絶対産むよ。
もう出来ないかもしれないと諦めかけてい た。
それでも美嘉のお腹に宿った一つの命。 愛するあの人との
たった一つの絆。
神様。 神様のことは一生恨むかもしれない。
でもね、 ほんのちょっぴりだけ感謝するよ。
天国からの送りものを くれたから。
ヒロの生まれ変わりかもしれない。
一人目の赤ちゃんの生まれ変わりかもしれ ない。
赤ちゃん… もし君が産まれた時には
あなたのパパのこと たくさん話してあげるからね。
あなたのパパはね、 とってもかっこ良くて とっても男らしくて とっても強かったんだよって…。
それでね、 一緒に手繋いでパパのお墓行こうね。
パパが大好きだったみかんキャラメルと完 成した帽子持って…行こうね。
パパ絶対喜ぶよ。
涙流して 喜んでくれるよ。
あなたのパパは それくらい心の温かい人だから。
病院を出て、
家の近くにある公園のベンチに腰をかけな がら
うつむいていた。
妊娠の事実。 喜びと…
信じられない気持ちと…ヒロに赤ちゃんを 抱かせてあげたかった悔しさと…
いろんな想いが混ざり合って頭の中はぐち ゃぐちゃだ。
たくさんの小さな幼稚園児が公園に入って 来た。
ブランコで遊んだり すべり台で遊んだり… 楽しそうな子供達の笑い声が耳に響く。
その時、
美嘉の前に頭に赤いリボンをつけた女の子 が
走り寄って来た。
「お姉ちゃんどうしたの?泣いてるの?」 その声に顔を上げる。
心配そうにこっちを見ている女の子。
「泣いてないよ。大丈夫だよ!!」
その女の子は美嘉に向かって指を差し出し た。
???ピース???
「…え…」 女の子はニコニコと
幸せそうに微笑む。
「あのね、先生がおまじない教えてくれた の。ピースしたら元気になれるんだって! 笑顔になれるんだって!だからお姉ちゃん もピースしたら笑顔になれるよ!」
美嘉はゆっくりと手を差し出し ピースを返す。
「お姉ちゃん 元気出た?」
美嘉は 微笑んで答えた。
「うん、出た!!ありがとう!!」
女の子は満足げな顔をして、 ブランコへと走って行ってしまった。
ピースは誰かの成功を祈るおまじない。
もうすぐ雪が降る。 冬が来るよ。
dear:大好きなヒロ
元気にしてますか?? そっちは
寒くないですか??
風邪引いてませんか?? 幸せに
暮らしていますか??
届くかはわからないけど ヒロに手紙を書いてみました。
美嘉は元気です。 風邪引いてないよ。 泣き虫もね、
無事卒業した。
にんじんも少しずつ 食べれるようになって来たよ!!
……偉い??
ピースは元気になれるおまじない。
あれからね、 大学やめちゃった。
ヒロとの約束 守れなくてごめんね。
今産婦人科に 通ってるんだ。
そこね、 流産した時に行った 産婦人科なんだよ。
ヒロは 覚えているかな??
今でも病院出る時 思い出してるんだ。
ヒロが頭に雪積もらせながら、 玄関に立ってたこと。
【お祈りしてた…】 そう言って
お守り握りしめて 震えてたヒロの姿。
今でも雪の向こうに 見えるんだよ。
そう言えばこの前 ヒロの小さいかけらと 赤ちゃんの写真持って 川原に行った。
三人で行きたいって 言ってたもんね。
見えたかな? 冬の川原はどうだった?
今度… 今度会ったら 聞かせてね。
約束ね!! クリスマス。
これから一人でお参りに行ってくるよ。
ヒロが買った
60 歳までの 手袋とブーツ持って
60 歳までお参りする。
でも来年からは 一人じゃないんだ。
だってお腹にいる 赤ちゃんが一緒だから。
だから寂しくないよ。 泣いたりしない。
あれから??とも 仲直り出来たよ。
赤ちゃんのこと みんなに報告したんだ。
????も??も???も ?????も????も…
泣いて喜んでくれた。
家族もね、 頑張れって言ってくれたんだよ。
大好きな友達と 大好きな家族に支えられて 今美嘉は生きている。
強くなった。 ヒロのおかげでね、 強くなったよ。
美嘉は
21 歳になりました。
ヒロと出会って
もう 5 年経ちました。
ヒロと過ごした日々は かけがえのない日々でした。
偶然二人を繋げた 一本の電話。
あの日から きっと私は
あなたに恋をしていた。
田原美嘉は??? 桜井弘樹に会えたことが 人生で1番幸せな
出来事です。
あっ、そうそう。
一つ報告があります。 ヒロとの約束を
一人で叶えることにしました。
二人で言ってた結末とは違ったけれど…
ヒロと過ごした時間を ヒロの生きた証を 最後まで書き綴ることが出来ました。
………ねぇヒロ。 今すぐは無理だけど、
今度また会おう。
そっちに行くのは遅くなるかもしれないけ ど…
絶対会おう。
二人出逢ったことが 本当に運命なら また必ず会えるよ。
…それまでは、 変わらずにいてね。
短気で ヤキモチ焼きで 喧嘩っ早くて ぶっきらぼうで 強がりで 寂しがりやで 負けず嫌いで 不器用で 優しくて 温かい。
そのままの ヒロでいて下さい。
浮気はダメだよ!! なーんてね。
風邪引かないように。 引いたら みかんキャラメル 食べて元気出してね。
じゃあ…またね。 ヒロまたね!!
2005 年 12 月 25 日 from:美嘉
━━『もしもし?』
『えっ……もしもし』
『俺????のダチの桜井弘樹。』━━ ヒロと出会った日。
━━『俺、美嘉が好きだ。…付き合ってほし い』
『……うん』━━
気持ちが通じ合った 瞬間。
━━『美嘉おめでとう!俺らの子産もう。産 もうっつーか産んでくれ。俺学校やめて働 くしぜってぇ二人幸せにすっから』━━
嬉しくて 涙が溢れ出た。
━━『ちっちぇ~手だな。俺の手の半分くら いじゃねぇ?こんなちっちぇ~手で母親に なれるんだからすげぇな。美嘉ならいい母 親になれるな!』━━
全てを包み込む 大きなヒロの手。
━━『またいつか産まれて来いよー!』
『産まれて来てね!!』
『そしてこの公園で、パパとママと三人で 遊ぼうなー!』
『遊ぼうねっ!!』━━
二人で誓った 約束。
━━『この川原は俺が見つけた特別な場所。 二人だけの場所にしようぜ。ケンカしたり した時はここで仲直りしような!』
『うん!うん!!ヒロと美嘉の二人だけの場 所だねっ!!』━━
大切な 二人だけの場所。
━━『今日はもう別れるつもりで来た』
『…だって、付き合う気ないなら来ないでっ てメール送ったじゃん……』
『最後の思い出作りたかった…』
『別れたくないよぉ…』
『…元気でな。幸せになれよ。バイバイ』━
━
終わりを告げた日。 ヒロの精一杯の優しさ。
━━『ヒロ、????………幸せにねっ!!』━━ ヒロの幸せを
心から願った。
━━『…ヒロっ、久しぶり!痩せたね!!』
『帽子かぶってるからそう見えるだけじゃ ね?』
『…帽子かぶってるとこ初めてみたぁ!!』
『今俺の中のブームは帽子だからな!』
『じゃ…』
『おい…』
『……何??』
『いや…じゃあな』━━
クリスマスの再会。
ヒロの言葉を聞いてあげられなかったん だ。
━━『あのっ…』
『俺…』
『あ…ヒロから言っていいよ!!』
『美嘉から言え。俺大したことじゃねぇか ら』━━
本音と弱さを隠し、 近づいた心が離れた。
━━『美嘉は幸せだったか?』
『うん。すごい幸せだったよ…』
『お前は相変わらずチビだな。早く背伸ば せよ』
『バカヒロっ!!』
『美嘉、絶対幸せになれよ』
『…ヒロもね!!』━━
卒業式。 ヒロから卒業した。
ヒロは美嘉の幸せと引き換えに 自分を犠牲にした。
温かい手が 離れたあの日。
━━『ヒロなんで内緒にしてたの??』
『なんにも内緒にしてねーよ!』
『だって病気のこと…』
『うるせー!もういいから。忘れろ』━━
強がりで 優しいヒロ。
━━『俺のところに戻って来い』
『……バカ。遅いよ…』
『もう離さねぇから……』━━
待っていた言葉。 たどり着いた場所。
━━『今思ったんだけど、美嘉とみかんて響 き似てねぇ!?』━━
子供みたいで… そんなヒロが 大好きでした。
━━『え~桜井弘樹さん。あなたは田原美嘉 さんを一生愛していくことを誓います か~?』
『誓います。』
『じゃあ~田原美嘉さん。あなたは桜井弘 樹さんを一生愛していくことを誓います か?』
『…誓います!!』
“これからもずっと一緒だよ。よろしくね”
━━
ちっぽけな奇跡を 信じた二人。
━━『ヒロまた突然いなくなったりしないよ ね??』
『バーカ。おめぇみてーな甘えん坊で泣き 虫で寂しがりやな女は、俺じゃねぇと付き 合えねーよ!』━━
美嘉のこと たくさん支えてくれて ありがとう。
━━『早く雪降んねぇかな』
『雪??』
『ここに雪降ったらどんな景色になるか見 てみてぇ』━━
叶わなかった願い。
━━『俺、まだ死にたく