━5 月 7 日━ 美嘉は相変わらずチビだ にんじん残すからだな
━6 月 18 日━ 美嘉が大学を辞めたいと言った。
俺のせいか
途中で寝てしまい、起きたら美嘉はいなか った
━8 月 10 日━ 美嘉の目が腫れてた。
また泣いたのか。 泣き虫だからな 治療辛い
━8 月 18 日━ 美嘉がみかんキャラメルを買ってきた。
意外にうまい カメラも買って来た
このカメラで美嘉のいろんな顔撮りたい
━10 月 12 日━ 退院したい
━10 月 26 日━
具合悪かったからみかんキャラメルを食べ たら元気出た
━12 月 24 日━ 美嘉がテレビ電話でお参りをさせてくれた
最高のプレゼント 少し涙出る
俺が退院したら絶対お返しする
━12 月 27 日━ 美嘉から貰った携帯を自分名義に変えた
これからこの携帯を使うつもり
━2005 年 1 月 9 日━ ????来る。
明日は成人式。 美嘉と軽い結婚式をする予定をたてる
━1 月 10 日━ 成人式。
着物マジかわいい。
軽い結婚式をした。 指輪も渡した。 早く籍入れたい。
━2 月 14 日━
美嘉からチョコもらう。あれからもう一年 か
━4 月 25 日━ 今日は雨。
美嘉が濡れてないといいけど
━5 月 5 日━ 死にたくねぇ
もっと生きたい
━6 月 10 日━ 起きたら鶴が置いてあった。
嬉しい。 元気になれた。
━6 月 27 日━ 元気がない。
みかんキャラメル食う 美嘉の寝顔撮る
━7 月 3 日━ カメラの残りもあと少し
早く現像して美嘉と見たい。
━7 月 16 日━ 早く退院して美嘉とデートしてぇなー
━8 月 12 日━ 俺は死ぬのか?
━8 月 23 日━ 食べ物を吐いた。
頭が痛い。
━9 月 5 日━ 寒くなってきた。
美嘉が風邪引きませんよーに
━9 月 12 日━ 三日間の外泊許可が出た 明日は家に帰る。
━9 月 13 日━ 家にいた。
久しぶりに家の飯食った。 ずっとここにいたい
━9 月 14 日━
今日はダチがたくさん来た。久しぶりに話 せて楽しかった
明日は美嘉に会える
━9 月 15 日━ 久しぶりに病院以外で美嘉に会った。
学校へ行く。
図書室の黒板にはまだ俺が書いた文字が残 っていた。
あれを書いたのが美嘉じゃなかったら困る から聞けなかった
川原へも言った
雪降る季節にまた来たい美嘉に弱さを見せ てしまった
かっこわりぃ
美嘉も泣いていた
━9 月 23 日━ 死ぬのが怖い。
美嘉を置いていきたくねーよ 美嘉を一人にさせたくない
━10月1 日━ 病室が移動になった
そろそろか
━10 月 10 日━ 最近ずっと具合悪い
みかんキャラメル食ってもなかなか元気に ならない
━10 月 14 日━ ????にメール送る。
そろそろ嫌な予感がする俺はまだ生きたい 美嘉と一緒に生きたい
生きたい生きたい生きたい生きたい生きた い
最後のページに 何か書かれている。
━10 月 15 日━
カメラは残り一枚。 明日美嘉と二人で撮って現像頼もう。 楽しみた。 みかんキャラメル食べる元気でた。 美嘉に早く会いたい
━10 月 16 日━ 美嘉俺は…
日記はここで終わっていた。
“美嘉俺は…”
続き、 何書きたかったの??
震えた字で… 苦しいのに書いてくれたのかな?
ヒロは一生懸命生きてたんだね。 辛くて苦しくて…
それでも必死で生きようと闘っていたんだ ね。
日記、 美嘉のことばっかりじゃん。
バカだよ…。 バカだよ…。
全て読み終わり、 ノートをパラパラと開いた。
ノートの最後のページに書かれていた文 字。
いつ書いたのかは わからない。
でも確かにヒロの文字で書かれている。
【もういなくなる俺にこんなことを言う資 格はないのかもしれない。 でも俺は言いたい。
愛している。 美嘉のことを、愛している。
“君は幸せでしたか?”と聞かれたら、 俺はあの頃と変わらずこう答えるだろう。
“とても幸せでした” と。
そして“今も幸せだ”と答える。
お前に会えたことが、俺にとっては大きな 幸せだった。
それは二度と変わらない。
俺が例えいなくなっても、俺は自信を持っ て幸せだと言える。
とても幸せだったと。 そして今も幸せだと…
美嘉は幸せでしたか?】
開いたスペースに 書かれた絵。
左に髪の長い女の子。
…美嘉かな??
右に帽子をかぶった男の子。 きっとヒロだね。
二人の真ん中に書かれているのは、
ピンク色の手袋をした赤ちゃんの絵。
…下手くそ…。 でも三人は幸せそうに
手を繋いでるね。
三人で手繋いで歩くのがヒロの夢だったも んね。
ヒロは どんな気持ちで書いたのかな。
夢叶えるつもりで 書いたのかな。
叶わないことを 知ってたのかな。
ノートを閉じ、 折れるくらいきつく抱きしめた。
【美嘉… おまえは生きろ!】
ヒロからの 最後のメッセージ。
ヒロは 一生懸命生きた。
なのに美嘉がこんなに弱かったら… ヒロに笑われちゃうね。
心配症なヒロのことだから安心してそっち の世界に行けないね。
新たな決意を胸に 涙を流した。
いつか誰かがヒロの存在を忘れてしまう日 が来ても、
美嘉は一生忘れません。
心の中であなたは 生きてるから。
永遠なんて ないと思ってた。
でもね あなたは永遠に心の中で生き続ける。
あなたに会えたこと。
あなたと幸せな時間を過ごすことが出来た こと。あなたの人生に関われたこと。
忘れない。 絶対忘れない。
温もりも笑顔も大きな手も
もうなにもかも無くなってしまったけれ ど…
一人でも歩き続ける。 また会える日が来るまで
ヒロ、美嘉に出会ってくれてありがとう。 美嘉を愛してくれてありがとう。 生きてくれてありがとう…。 涙で濡れて折れ曲がったノートを
そっとかばんにしまう。
さっき川に飛び込もうとした時、 目の前を横切ったあの二羽の鳥は…
ヒロと赤ちゃんだったのかもしれない。
助けてくれたんだ。 二人の分まで生きろって
そう伝えたかったんだ。
ヒロがいなくなった今…
離れていた日々の真実を痛いくらいに感じ ているよ。
ヒロの心の中から美嘉の存在が消えた日は 一日もなかった。
一日もなかったんだ。
離れていてもずっと 自分の傷を隠しながら 幸せを
祈ってくれてたんだね。
目を閉じると 少しも色あせずに浮かぶあなたの笑顔。
……忘れないで?? すれ違って
遠回りした。
だけど二人願ったゴールは 同じ場所だったことを。
あなたが背を向けて この川原を去ったあの日
二人の間に
……確かに愛はあった。
追い掛けなかった私と 振り返らなかったあなた
でも確かに 大きな一つの愛が ありました。
そして今も あの時より大きな愛が ここにある。
大きな大きな愛が ここに 存在しているんだ…。
人の“死”は 必ずしも何か意味を持つと言う。
ヒロを連れて行ってしまった憎い神様へ。 ヒロの死はどんな意味を持つのか
今はわからない。
…だけど 必ずその意味を
探してみせます。
ヒロの死を 赤ちゃんの死を
…決して 無駄にはしない。
だからもう一度だけ チャンスを下さい。
立ち上がる力を… 踏み出す勇気を下さい。
もう絶対生きることに迷ったりはしないか ら。
生きることを諦めたりはしないから。 ありったけの勇気と力を……下さい。
ほんのり冷たい風が吹きぬけ、 懐かしい香りがした。
その風が涙を… 一瞬だけ渇かす。
生きる。 生きるんだ。 生きてやる。 生きてみせる。
あなたが教えてくれた 優しさと強さをかてに
私は………… これからも生き続ける。
真っ直ぐ前を見て 立ち上がった。
その時緩んだ背筋が すくっと伸びたような気がしたんだ。
「美嘉ね、明日から頑張って生きるから! 二人のぶんまで生きるからねー!!」
かばんから編みかけの帽子を取り出し、
再び流れた涙と鼻水でぐじゅぐじゅの顔で 空に向かって笑顔で叫んだ。
「帽子完成させるから!!待っててねー!!」
精一杯の強がり。 生きる決意。 最後の涙。
……ヒロに届け。
ヒロ。 こっちの世界は
辛かったでしょう。
苦しかったでしょう。 よく闘ったね。
お疲れ様。
もう怖くないよ。 そっちの世界では
どうか… 元気でいて下さい。
もしまた生きることに疲れてしまう時が来 たら、あのノートを見て元気もらうね。
美嘉に何かあったらヒロが必ず助けてくれ る。
それは例えヒロがいなくなっても変わらな い。
ねぇ、 ヒロって本当にスーパーマンみたいだね!!
正義の味方だね。 かっこいいね。
大好き。 ヒロ大好き。 ヒロ大大大~好き。
ありがとう。 本当にありがとう。
またね。 また今度ね。
美嘉は ゆっくり歩き始めた。
二人目の赤ちゃん。
最終章 恋空
ヒロがいなくなってしまったあの日から一 ヶ月。
ここ最近具合が悪くて 病院へ行った。
体がだるい。 なんだか 吐き気もするし…。
病院で一通りの検査を終えると、 医者が口を開いた。
「おめでとうございます。妊娠してます ね!」
………妊娠。 新しい命が誕生した。 ヒロと美嘉の赤ちゃん。
あの時川原で一つになった時の赤ちゃん。 もう抱くことはないと…出来ないと思って
いた
赤ちゃん。
ねぇ、 これは二つ目の奇跡なのかな??
それとも、 ヒロの生まれ変わりなのかな??
「産みますか?」
「産みます!!」