しかしこの平凡な生活はあっけなく崩れて いく…
日曜日の朝。 今日はヒロが美嘉の家に遊びに来る予定。
?????? ??????
セットした目覚まし時計より早く、 メールが届く音で目が覚めた。
眠い目をこすりながら 受信 box を開く。
《マダワカレナイノ?》 このメールって…
内容ですぐにわかった。
ヒロの元カノだ。
でも phs 自体変えたはずなのに なんでまたメール来るの??
ヒロまた会ったの??
昼になり 半信半疑のままヒロが来た。
不安なままでいるのは嫌だ。 ハッキリするために聞いてみよう。
「ヒロたん~…」 ヒロの膝に転がる美嘉。
「甘えてどうした?」
「今日またヒロの元カノからメール来た ぁ~…」
「はぁ?マジで?」
「うん~…ヒロ元カノに会ってないよね ぇ??」
ヒロの様子をうかがうように顔を覗き込 む。
ヒロは全く動揺していない様子。
「バーカ。俺はお前だけだし。しかも毎日 遊んでるんだから会う暇ないしわかるだ ろ!」
この言い方は 信頼性がある。
「…うん。 でもなんで??」
「美嘉の知り合いに俺の元カノと繋がりあ るやつとかいないか?」
「う~~ん…多分いないと思う!!」
「つーか元カノの番号わかる?」
「前の phs 見たらわかるけど…」
「教えろ!」
昔の phs の電源を入れ、 しぶしぶ教えた。
ヒロは自分の phs からどこかに電話をかけ 始める
「誰にかけてるの??」
「内緒」
笑っていたヒロは 急に真面目で話始める。
『あ~俺。おー、弘樹。てめぇ~俺の女に 関わるのやめろや。』
きっと 元カノにかけてるんだ。
『だいたいなんでアドレス知ってんだよ。 あ?俺はてめぇと関わる気はもうねーし、 二度と関わんな』
電話一方的に切るヒロ。
「もうこねぇから安心しろ」
そう言って美嘉の前髪をかき上げ、 おでこに軽いキスをした
その日はもうメールも電話も来なかったけ れど、次の日からまた前のように嫌がらせ は続いた。
ヒロには言わない。 気にしない…。
学校で昼休みお弁当を食べている時
「あ~なんか具合悪い…っ吐きそう~」 突然の吐き気に
トイレへダッシュ。
吐くのは胃を壊して入院した時以来だ。 また胃が変になったかな
最近具合い悪いし…。
その日家での夕飯も、 吐き気のせいで食べることが出来なかっ た。
「病院に行きなさい」 お母さんにそう言われ、次の日の放課後お
父さんに迎えに来てもらい 一緒に総合病院へ行った
受付をし、 一通りの症状を説明して尿検査と血液検査 をする
あとは結果待ち。
なぜか美嘉一人が 診察室へと呼ばれ…
医者は何のためらいもなく、 検査結果の紙を見ながら結果を口にした。
「妊娠してますね」
妊娠…。 頭の中は真っ白。
「保護者の方にお伝えしても大丈夫かな? 保護者の方呼んで下さい」
医者の声が 遠くから聞こえる。
フラフラしながら、 待ち合い室にいるお父さんを診察室に呼び 出した
お父さんは医者の説明を聞いて、 何も言わずに頷いていた
お父さんの顔 怖くて見ることが出来ない。
帰りの車で会話したのはたった一言…
「相手はヒロ君だな?」
「うん…」
「お帰り~ どうだった?」
キッチンから お母さんの声。
まさか妊娠しているなんてこれっぽっちも 思っていないだろう。
だって美嘉も思ってなかったもん。 何も返事をせずに部屋に入り
布団の中に潜り込んだ。
居間ではお父さんの声がかすかに聞こえ る。
お父さんはお母さんに結果… つまり妊娠したことを報告しているのだろ う。
しばらくして話し声が聞こえなくなると同 時に、部屋のドアが静かに開いた。
この夕飯の香り… お母さんだ。
目を閉じて 寝たフリをする。
薄目を開けるとお母さんはベッドの横に座 り、 美嘉の顔を見つめてただ涙を流していた…。
妊娠…。 どうしよう。 図書室でした時
確かに避妊してなかった
お腹にはヒロとの赤ちゃんがいる まだ二人とも 16 歳なんだよ…。
病院へ行った日から食欲がなくなり つわりはひどくなるばかり。
痛いくらいに冷たい風。雪がちらちら降っ て来た
クリスマスが近い。 今はクリスマスより…
でも一人で悩むことじゃないよね。 ヒロにも言うべきことだよね。
ヒロはなんて言うかな?喜んでくれるか な??
それとも…。
具合いの悪さを我慢して学校へ行く。
学校じゃ話す気にはなれなかったので、 放課後ヒロを学校の近くにあるファミレス に誘った。
ずっと休んでいたので会うのは久しぶりだ から、ヒロはとても嬉しそう。
本当はね、 美嘉もヒロに会えてすごく嬉しいよ。
でもね、 これから言うことを考えると不安で喜べな い…。
「美嘉サラダしか食わねぇのか?ニンジン 残して~それだからいつまでたってもチビ なんだぞ!」
不安な心とは裏腹に、 ヒロはとても楽しそう。
「…話あるんだぁ」
「話?なんの話?別れ話なら聞かねぇぞ!」
「別れ話じゃないよ…」
「まぁ別れようって言われても嫌だって言 うけどな!」
「まじめな話だから…」 ヒロはいつもと違う雰囲気を察したのか、
真顔になり美嘉の目をじっと見つめた。
「どうした?」 水を一口飲み込み、
話し始める。 妊娠の事実を…
「具合悪くて病院に行ったの。そしたら…で きてた」
「え?」
「赤ちゃん…」 ヒロの表情を見ると答えがわかってしまう
気がして顔を見るのが怖い。
ヒロは何も言わずに立ち上がり、 店の外に出て行ってしまった。
正直… 妊娠してると言われてかなり驚いた。
だけどね、 すごく嬉しかったんだ。
美嘉はヒロの事が 好きだから…。
ヒロとの赤ちゃん、 産みたいと思ったの。
でも ヒロは違ったのかな??
二人ともまだ 16 歳だし、結婚できる年でも ない。
働いてるわけでもないから産んで養えるわ けでもない。
そんな状況の中で、 赤ちゃん産むのは困難かもしれないね。
ヒロにとって“妊娠”は重い事実で、 これからもっと遊びたいのかもしれない し…。
不安は どんどん増すばかり。
下を向いて考えていると人の気配がしたの で顔を上げた。
「ヒロ…?」 ヒロは息切れをしながら袋から赤いキーホ
ルダーみたいな物を取り出し、美嘉に差し 出した。
「何…?」 よく見たら、
クリスマス時期によく売っている小さくて 赤いブーツに飴やチョコなどのお菓子が入 っているやつだ。
「美嘉おめでとう!俺らの子産もう。産も うっつーか産んでくれ。俺学校やめて働く し、ぜってぇ二人幸せにすっから!」
思いがけない言葉。 ヒロがとびきりの笑顔で赤ちゃん産んでほ
しいって、 そう言ってくれた…。
「産んでいいの…??」 不安げな美嘉。
ヒロは目を輝かせながら答える。
「あたりめーだ!頑張って二人で育てよう ぜ!」
心に決めた。 赤ちゃん産むよ。
…産んでって言ってくれてありがとう。 ヒロの事大好き!!
ヒロと産む決心をしてから三日後… 向かう先はヒロの家。 今日はヒロの親に妊娠の報告をする予定
だ。
そして産むことも…。
最初に??さんの部屋に行き全てを報告す る。
「おめでと!あたしもついに叔母か~あた しに2番目に抱かせてね?」
??さんは とても喜んでくれた。
その時、 出掛けていたヒロの両親が帰宅。
二人は 緊張しながら居間へ…。
「おじゃましてまぁす」
「あら美嘉ちゃん こんにちは!」
挨拶を笑顔で返してくれたヒロのお母さ ん。
ヒロは美嘉をソファーに座らせ、 自分は立ち上がりながら話し始める。
「親父達に話あんだわ。嬉しい話。な、美 嘉!」
美嘉も その場で立ち上がる。
「…はい!!」
「なんと美嘉が妊娠しましたー!美嘉の腹 に俺の赤ちゃんがいま~す!」
お腹を撫でるヒロ。
居間は、 沈黙になった。
一瞬時間が止まる。
ヒロは沈黙をかき消そうとするかのように 口を開いた。
「俺達産むことに決めたから!」 目を見開く
ヒロのお母さん。
「産むったって育てられるの?」
「俺学校やめて働くし」 自信満々なヒロ。
「美嘉ちゃんはどう思ってるの?」
ヒロのお母さんからの問いにキッパリと答 えた。
「もちろん産みたいです!!」
今まで黙っていたヒロのお父さんが 腕を組みながら口を開く
「弘樹と美嘉ちゃんが二人でそう決めたの だからわしは何も言わない。弘樹、美嘉ち ゃんを幸せにする自信はあるのか?」
「もちろん!美嘉も赤ちゃんも必ず幸せに する」
即答し、 親の前にも関わらずにガバッと抱き付くヒ ロ。
ヒロの両親はそんな二人の姿を見て少し呆 れたように笑った。
「頑張りなさい」 お父さんが見せた笑顔はヒロにとても似て
いる。
「美嘉ちゃん体冷えたら困るから、帰りマ フラー貸すからしていきなさいよ!」
お母さんはしていたマフラーを貸してくれ た。
目を合わせてニンマリと笑い声を揃える二 人。
「「明日は美嘉の親に報告だ~!」」
しかし… 次の日の放課後
足早に美嘉の家へ向かう
美嘉の親は妊娠を知っているから、 後は産むことの承諾をもらわなければなら ない。
「おじゃまします!」 妊娠発覚以来、
ヒロが家に来るのは今日が初だ。 しかし全く緊張していない様子のヒロ。
家の中は 気まずい雰囲気。
居間のドアをそっと開くと、 お父さんがソファーに座っている。
「お父さんヒロが…」
「居間に 連れてきなさい」
ヒロの手を握り 居間へ案内する。
「こんばんは」 お父さんを前にさすがのヒロも緊張してい
る。
「座りなさい。」 二人は手を離し
腰をおろした
重い空気。
「このたびは…美嘉さんの妊娠が赤ちゃん で産む話しを…」
しどろもどろなヒロ。 美嘉はその言葉を遮って強めの口調で言っ た。
「赤ちゃん 産みたいの!!」
瞬ギョッと