くつけてい いか?!」
「うん、いい…」 最後まで言い終わらないうちに、
ヒロは香水をシュッと手首にかけた。
「あらぁ?なんかいい香りがする?美嘉か らのプレゼント?」
??が香水の香りに気付く
「おぅ!」
「なんかヒロ君っぽい香りだね?」
そう言われたヒロは本当にとても嬉しそう で、
美嘉も??の言葉がとても嬉しかった。
「ありがとな!」 ヒロは香水を大事そうに握りながら
満面の笑みを浮かべている。
「お~っと。アツアツだな!火傷しそう」 ちゃかす????。
「うるせ~から!」 ヒロはちょっと照れた感じで、
????に蹴りをいれた。
「俺この香水毎日つけるわ。ありがとな。 美嘉、俺のも開けてみて!」
ヒロから貰った小さなピンクの袋を サンタクロースからプレゼントを貰った子 供のように開ける。
…中身はからっぽ。
「なんもないよ??」 袋を覗きながら不思議そうに言うと、
ヒロは美嘉の目に手の平をあてた。
「ちょっと目つぶれ」 ヒロに言われた通りに
目をつぶる。
左手に 何か違和感を感じる。
「あ~美嘉いいなぁ。うらやましい?」 近くで聞こえる??の声。
「目~開けてみ?」
耳元で聞こえるヒロの声に体をビクッとさ せながら、
おそるおそる目を開けた
「…ぇええぇえ!?」 思わず叫び声を
発してしまった。
左手の薬指には、 キラリと光るシルバーの指輪。
自分の左手を顔の横に出しているヒロ。 ヒロの左手薬指にも、
同じ指輪がキラリ。
「ペアリングだから!」 ヒロは自慢げに
そう言って笑った。
…言葉が出ない。 これが感動ってやつ??
「どうした?嬉しくなかったか?袋に入れ なくてごめんな。びっくりさせたかったん だ!」
美嘉はヒロに飛び付き、ヒロはその勢いで じゅうたんの上に背中をついて倒れた。
「嬉しいよぉ~ヒロ~ふぇ~ん…」
「ヒロ君泣~かした?」 ??がヒロを指さす。
「よしよし。泣くな!」
「さぁ~ハッピーエンドだしまた飲む ぞ~!」
????の一声で 美嘉以外の三人は再び飲み始めた。
でも美嘉はまた一人 仲間はずれのグレープジュース…。
まぁ、 別にいいけどね。
今は何より薬指の指輪が元気をくれるし!! 酔いは最高潮になり??と????はノリノリで
テレビゲームを始め、 美嘉とヒロは部屋の隅っこでイチャイチャ していた。
美嘉の肩に手を回すヒロが甘えた声で呟 く。
「なぁなぁちょっと外いかねぇー?」 ジュースしか飲んでいない美嘉も、
お酒のにおいや雰囲気でほろ酔い気味だ。
「ん~いいよぉ!!外行こっ?」 ゲームに夢中の??と????を置いて、
こっそり部屋を抜け出し外へ…。
外は大粒の雪が ちらちらと降っている。
その雪が街灯に照らされ結晶の形が見えて とてもロマンチック。
「うぅ~寒いね~…」
「ほら、風邪ひくぞ。お母さん!」 ヒロは美嘉の
首にぐるぐるとマフラーを巻きつけた。
「ありがとっ?」 テンションがあがり、
降ったばかりの雪の上をぴょんぴょん飛び 跳ねた巻いてもらったマフラーがポトッと 雪の上に落ちる。
ヒロは落ちたマフラーを拾い 雪をほろった。
そして再びマフラーを巻いてくれ、 両手で美嘉の髪をわざとボサボサにしなが らニカッと微笑んだ。
「お前は~本当世話のやける子だ。ほっぺ 赤いし!そこがまたカワイイんだけどな」
雪は止むことなく 降り続ける。
二人の鼻はトナカイのように真っ赤だ。
「12 時過ぎたから、メリクリだね!!」
「だな!体冷やしたらいけないのに外に出 させてごめんな」
「平気!!なんかあったの?酔ったの??」
「渡してぇ物あって…」 渡したい物??
プレゼントはさっきもらったし。
「あいつらのいる前じゃ渡せねぇから。こ れ…」
そう言ってポケットから何かを取り出す。
「…手袋?」 ヒロがポケットから取り出したのは
黄色い毛糸の手袋だ。
それもすごくちっちゃいサイズの…
「産まれてくる赤ちゃんに買ったんだ。ま だ女の子か男の子かわからないから黄色に した」
その手袋を受け取り、 ぎゅっと握りしめた。
赤ちゃん聞いた?? あなたのパパはね
あなたが産まれて来るのを待ち望んでるん だよ…
小さい手袋を見て、 赤ちゃんの小ささを実感した。
そして、 病院のモニターにうつっていた赤ちゃんの 姿を思い出した。
あんなに小さい口で、 一生懸命呼吸している。
あんな細いへその緒で、一生懸命栄養を摂 っている。
あんなに小さい体で、 一生懸命生きている。
今お腹の中で、 必死に生きてるんだ。
愛する人との… 大切な赤ちゃん。
大好きなヒロとの 赤ちゃん。
絶対に産んでみせる。 幸せにしてみせる。
ヒロありがとう。 今日この日のことは、 一生忘れないから…。
大粒の雪が目の中に降り落ちて、 涙のように流れ出た。
二人は手を繋いだまま ????の家へ戻った。
さっきまで騒がしかった二人はいつの間に かもう静かになり ベッドの上でイチャイチャしている。
ベッドから毛布を奪い 美嘉とヒロは部屋の隅で冷えた体を温め合 った。
??と????は もう二人の世界。
美嘉とヒロの姿は 見えていないだろう。
最初は見て見ぬフリをしていたが その行為はだんだんエスカレートする。
微かにもれる ??の声。
友達のそんな声を聞くのはなんとも言えな い気持ちだ。
ヒロは毛布を体にガバッとかけ、
あぐらをかいている自分の膝の上に美嘉の 頭を乗せた。
きっと??の声に耳を塞ぎたい美嘉の気持ち に気付いたのだろう。
下から見るヒロは なぜかいつもより数倍かっこよく見える。
ヒロのほっぺに両手をあて自分の唇にヒロ の顔を寄せた。
しかし唇は軽く触れる程度しかあたらな い。
美嘉の頭の下にそっと手を入れて、 頭をゆっくり持ち上げさっきより少し強め に唇を重ねるヒロ。
ヒロのキスは 大好き。
キスをしながら 優しく頭を撫でてくれるから。
………たくさんの 愛を感じる。
いつもは口が悪いし すぐ怒るし 意地悪ばかりする。
だけど… どうしてこんなに優しいキスするのかな。 きっと
心が優しいからだね。
触れる唇があまりに温かくて 涙が出そうになる。
この幸せが いつまでも いつまでも 続きますように。
今はただただ そう願うだけ…………。
唇がそっと離れる。
美嘉の体を起こし きつく抱きしめるヒロ。
その体は 心なしか震えている。
「ヒロ………どうしたの??」 ヒロは体を離し
目線を地面へとずらしながら答えた。
「……なんかわかんねぇけど、俺緊張して る。かんかかっこわりぃな」
ヒロの言葉は 美嘉の胸の奥を 熱くした。
それと同時に 愛しさが 込み上げてくる。
「美嘉も……………ドキドキしてるよ。」
美嘉のお腹を じっと見つめるヒロ。
「赤ちゃんがここにいるんだな。なんかま だ信じられねぇよ」
「うん…………」
「嬉しくて最近寝れねぇーんだ。常に赤ち ゃんの名前考えたり顔想像したりしてる し」
「ぷぷっ…バーカ」
「俺おかしいかな?」
「………美嘉も、美嘉も同じだよ。だから変 じゃないよ!!」
二人は目を合わせて 照れくさそうな顔で 微笑んだ。
赤ちゃん 聞こえますか。
二人の声は 届いていますか。
先のことを考えると 少しも不安がないわけじゃない。
だけどこの小さな命を 絶対に守り抜きたいと思った。
何があっても 絶対に守り抜きたいと思ったんだ。
手を握り合う二人。 まだ幼さの残る手。
たった 16 才の 小さなパパとママ。
まだ子供だと言われても 頼りないと言われても
それでも愛は誰よりも誰よりも大きい。
……大きい。
“赤ちゃんはパパとママを自分で選ぶ” こんな言葉をどこかで聞いたことがある。
赤ちゃん。
パパとママに 美嘉とヒロを選んでくれて本当にありがと
う。
固い決意と永遠を誓って 二人は強く握り合った手を離さなかった。 手を繋いだまま
床に転がり毛布に潜り込む。
目を閉じて 二人の赤ちゃんを 想像してみた。
あ~…… きっと
可愛いだろうなぁ。
美嘉に似たら わがままになるかも。
ヒロに似たら ヤキモチ焼きになっちゃうかもね。
大好きな人との赤ちゃんだから、 大切な宝物だよ。
「美嘉」 名前を呼ぶと同時に美嘉の体を抱き寄せる
ヒロ。
「………ん??」 目を開くと
そこにはヒロの柔らかい笑顔があった。
その笑顔が妙に安心をくれたのを覚えてい る。
「美嘉と赤ちゃんはへその緒で繋がって て、俺と美嘉は今こうして繋がってる。 今俺と美嘉と赤ちゃん、三人で一つなんだ な…」
毛布の中で響く ヒロの声。
「うん、今三人で一つだねっ…」
…ヒロって何でこんなに温かいんだろ。
「疲れたろ。寝ろ」
「ありが……と」 最高なクリスマスイブ。
明日もきっと最高なクリスマスになる。
ヒロの胸にうずまりながら眠りについた。
「美嘉ぁ~美嘉ぁ~?」 誰かに起こされる声で
目覚めた。
「起きてぇ~!」 この高い声は??だ。
「…??起きてたの??」
「酔い冷めちゃったし目も覚めたぁ。って かあたし達酔ってここでhしちゃったみた い!ごめ~ん…」
「あ全然気にしないでいいからっ!!」
「あ~テンションあがって来た?寝たし~
?」
少し寝て元気になった??は????とヒロを叩 き起こしている。
「ほらまた飲むよ~?」
「…うるせーな。げっ、まだ3時じゃね~か」 少し機嫌が悪い????。
「ヒロ君も?」
「あ~頭いてぇ」 ??はノロノロしてる二人を強引に起こし
た。
「ほら美嘉もぉ!また飲むよ~?」 具合悪い…。
お腹痛いし吐きそう。 つわりかも…。
「ごめん、美嘉ちょっと調子悪いから少し 寝てもいい??」
「あら!それは無理しないで寝なさ~い?」 持って来た正露薬を近くにあったお茶で飲
み、 横になる。
「大丈夫か?」 心配そうに顔を覗き込むヒロ。
「うん、大丈夫。多分つわ