ありえねぇ~」 声を揃えて不満げに言う二人。
「お前達担任の話聞いてたか?テストで赤 点とったり出席日数足りない生徒は春休み の間、補習あるんだぞ」
「俺は~?」
「確か配ったプリントに書いてあったはず だが…あ、あった。これだぞ」
ヒロはプリントを 覗き込む。
「俺補習じゃん~マジありえね~」
「ぷぷっ!!ヒロ補習?かわいそうに…」 手で口をおさえながらわざとらしく同情す
る。
「残念ながらお前もだ」 根拠もなく安心しきっていた美嘉に、
先生からの衝撃的な一言
「美嘉もかよ!」
ヒロがプリントを再び覗き込む。 こうなれば色気作戦で補習を免れるしかな い。
「え!?美嘉も補習??やだ~やだやだ先 生許して~!!
お?ね?が?い(^3^)」
「頑張れよ!」 色気作戦はあっけなく失敗に終わり、
先生は二人肩をポンと叩いて去って行っ た。
春休み中は毎日補習…。 でも二人共補習のおかげで毎日学校で会え
るし、補習が終わると川原に行ってまった りとしたりお互いの家に行ったりしてい た。
そして 春休みは終わる…。
━四月 もう高校二年生。
新学期と言えば クラス替え。
いつも通り学校に向かい玄関に貼られたク ラス替えの紙を見に行こうとした時、 嬉しそうに歩いている??に会った。
「美嘉~また同じクラスだよ?????も!」
「マジで??やったぁ!!ヒロと??は!?」
「違うクラスぅ…」
「がび~ん↓↓」
??と????とは同じクラスになれたが ヒロと??とは違うクラスになってしまっ た…。
??と離れたのは寂しい。 しかしヒロとはもともと違うクラスだった
し そこまで寂しくも感じない。
ヒロはすごくヤキモチ焼きだから同じクラ スだと毎日ケンカになってしまうかもしれ ないし、 違うクラスのほうがいいのかも…。
ヒロは休み時間や昼休みに教室に遊びに来 てくれて、
毎日四人で話しをしていた。
クラス替えをして 一ヶ月。
この日も学校をサボってヒロと川原で遊 ぶ。
陽射しで温かい地面。 冷たい川の水が
心地良い。
美嘉とヒロは初めてここに来た日から川原 に来る機会が増えた。
時には学校をサボり 時には放課後。
「天気いいね?」 草をむしりながら言うとヒロは地面にごろ
んと転がった。
「なんか眠くなっちゃったぁ~!!」
空に向かって大きく両手を広げながら言う と、 ヒロは地面に横になった状態で手招きをし た。
「来い!寝ようぜ~」 ヒロの腕枕にごろんと転がり、
ヒロの胸に埋まる。
制服からは 微かに????????の香り。
「やべぇ~幸せだ」
「美嘉も幸せ~っ!!」
「早く結婚してぇな」
「うん?ヒロ美嘉のこと好きっ??」 ヒロはぷいっと横を向きながら答えた。
「…おー」
「どれくらい好き??」 ヒロの横顔は
少し照れたように見える
「んなこと言えねーよ」
「えー…なんでぇ??」 いじけたようにほっぺに空気をぷくーっと
膨らませる美嘉。
「恥ずかしいじゃん!」 ヒロは咳ばらいをしながら答えた。
美嘉は体を起こし、 川へと歩き出す。
「どこに行くんだよ?」 ヒロの言葉を無視し、
その場に座り込み川の水を触っていると、 突然ヒロが後ろからがばっと抱きしめた。
「やめて!!どれくらい好きか言えないんで しょ!!もういい…」
最後まで言い終わらないうちに、 ヒロは唇を重ねた。
「…これぐらい好きだから。わかったか?」
「……うん…」
突然のキスに全ての思考が停止。 顔が熱くなっていくのがわかる。
「照れんな。俺も照れっから!」 ヒロは熱くなった美嘉のほっぺを撫でなが
ら呟いた。
この先ヒロが隣にいてくれるのなら 美嘉は何があっても怖くないよ。
この時ね 本当にそう思ったんだ。
しかしそれから三日後に思いがけない事件 が起きる…。
今日は朝から雨。 こんな日は学校へ行くのも憂鬱だ。 傘をさしながら
バスを待つ。
横から振り付ける雨で制服が濡れ 体を震わせながら教室に入った。
ヒロは川原に行った日から学校を休んでい る。
風邪らしい。 今日は来るかな??
早く会いたいなー。
「おはよ~」 いつも元気に挨拶をしてくる??の姿がな
い。
「??は??」 近くにいた????に聞く。
「休み~」
「休みかぁ…。」 ??が休むなんて珍しい。??も風邪かな?
そんなことを考えながら席についたと同時 に
激しい音をたてて教室のドアが開いた。
ヒロ。 ヒロが教室に入り
怒ったような表情で美嘉へと近付いて来 る。
ヒロは強引に美嘉の腕を引っ張り 立ち上がらせた。
「…風邪治ったの??」
ヒロは美嘉の問いに返事をせず????に向か って低い声で言った。
「????後で話あっから」 ヒロは強引に美嘉を廊下へ出し
体を強く壁に叩きつける
「痛……何!?」
「俺に話すことない?」 美嘉を真っ直ぐ見るヒロから目が離せな
い。
「え…??」 ヒロは返事を急かすように舌を巻きながら
話し続ける。
「????のことでなんか話あるよな?」
????のこと? ????が何…??
「意味がわかんない…」 ヒロから目をそらしながら答えた。
なんで怒ってるの??
ヒロの表情はみるみるうちに変わる。
「????とキスしたんだろ?」
????とキス。 クリスマスイブの夜????が酔って美嘉と?? を勘違いをしてキスしてきた。
でも????はキスした相手が美嘉だなんて知 らないはずだし…。
「…????に聞けばわかるんじゃない??」
頭を抱えながらそう言うと、 ヒロは教室に戻り????を無理矢理連れて再 び廊下に戻って来た。
「なんだよ?」 ヒロは不機嫌な????の胸ぐらを掴む。
「なんだよじゃねー。美嘉とキスしたんだ ろ?」
????は… してないって言うに決まってる。
「…あぁ、した。」
????は開き直ったように認めた。 ????は美嘉だって知っててキスをした の??
??と間違えたんだよね?
鈍器のような物で頭を殴られたような感覚 にめまいがする。
「だってあれは……」 美嘉の言い訳を最後まで聞かずに、
ヒロが叫んだ。
「てめぇ人の女に手出してんじゃねーよ。 ふざけんな!」
ヒロは????の頭を壁に押し付け、 その瞬間ヒロの拳が????の頬を強く直撃 し、 ????は鼻血を出してその場に倒れ込んだ。
「………ヒロ」 ヒロは美嘉を横目で睨みポケットに手を入
れたまま自分の教室へと帰って行ってしま った。
ヒロが美嘉にあんな怖い顔を見せたのは初 めて…
倒れている????に制服のポケットからハン カチを差し出し、 涙声のまま????に質問を投げ掛けた。
「????、あの時美嘉起きてたんだ。でも美 嘉と??を間違えてチュウしたんじゃない の??よくわかんない。説明して…」
「ごめんな」 ????はそう言って美嘉の手からハンカチを
取り、鼻血を拭きながらゆっくりと説明を 始めた。
????が説明してくれた内容はこうだ。
“ヒロは高校に入学した当時から美嘉のこ とを狙っていた。 ????も少しだけ美嘉のことを気になっては いたけど、ヒロのことを考えたら言えなか った。
??と付き合ってから、 ??のことはもちろん本気で好きだったけれ ど、美嘉のこともまだほんの少しだけ気に なっていた。
クリスマスイブの夜に四人で飲んだ時みん な寝ていたし、少し酔っていたこともあっ て軽いノリで美嘉にキスをしてしまった。
後からキスしたことをすごく反省して、そ れを親友である???に相談をした…”
こんな内容だった。
????が美嘉にキスした理由は… だいたいわかった。 でもなんでヒロが知ってるの…??
唯一の共通点と言えば…
「????が相談した???って確か今ヒロと同 じクラスだよね??」
「おぅ」
「じゃあ????が美嘉にキスしたってことを ???がヒロにチクッたってこと??」
「それしかないな。信じてたから相談した のにな…なんかヒロ誤解してるよな。俺が勝 手に美嘉にキスしただけなのに、ごめん」
「????は今??のことちゃんと好きだよ ね…??」
????はしばらく沈黙を続け 静かにうなずいた。
深い穴に落ちたような…まさにそんな表現 がぴったりあてはまるだろう。
??の耳にこの話が入ったらどうなる??
……ヒロ。 怒ってた。
今までたくさんケンカしたけどあんなに怒 ってたヒロは初めて見た。
ヒロは本当のことを知らない。 美嘉は????が??と美嘉を間違えたんだと思 ったんだ。
だから何も言わなかった
隠してたわけじゃないの ごめんなさい…。
学校で何回もヒロにメールを送った。
《ゴメンネ》
《ハナシタイ》
しかし返事は来ない。 教室まで会いに行く勇気も電話をする勇気
も出ないよ。
????は鼻血が止まらないためか早退してし まった
昼休みになってもヒロから返事が来ない。 これで最後にしようと二通のメールを送っ た。
《ホウカゴハナソウ》
《トショシツニイマス》
放課後… ほんの少しの望みに期待しながら図書室へ 向かう
図書室のイスに座り 顔を伏せた。
ここで愛し合ったこともあったね。 説明したらわかってくれるよね…?
ヒロが来る気配は全くなく外も暗くなって きた。
その時… ??????
ドアが開く音。
顔をパッと上げた。
「学校閉めるから早く帰りなさい」
…用務員さんだ。 ヒロは来なかった。
当たり前だよね…。
帰り道、 暗い道を歩きながら空を見上げる。
星が綺麗。 手を伸ばせば
届きそうなくらいに。
いつもなら隣にヒロがいて、
「星取って~!!」 って冗談で言えば
「ったくガキだな~」 とか言って笑いながら頭クシャクシャして
くれていたのにな。
一人じゃ 全然届きそうにもない。
ヒロ。 ヒロと星見たいよ。
家に着き 勇気を出して電話をかけてみた。
予想通り繋がらない。
メールはしないつもりだったのに手が自然 に p メール dx というロングメールを送信 していた。
直接話して説明したいけど電話には出てく れないから…
クリスマスイブの夜、 美嘉は寝ていたこと。
????が間違えてキスしたと思っていたとい うこと
今日????から聞いた話。 誤解だということ全てを書いて送信。 その時…
????????????