月で 10 人と経験しただとか、 女連れで毎日遊んでいるだとかいろんな噂 を聞いたりもした。
美嘉の悪口も 言ってるらしいね…。
それでも 少しずつ近づいてみせるよ。
昔みたいに戻れないのはわかってる。 でも…
自分の気持ちに 嘘つきたくないから。
学校祭が近付く。
第九章 仲間
学校祭が近い。
美嘉のクラスはホームルームで話し合いの 結果、ステージでバンド演奏をすることに なった。
じゃんけんで負けた美嘉は、 あまり経験のないベースをやるはめに…。
もともと人前に出るのが苦手だったせいも あって学校祭が近づくたび気持ちが重くな っていく。
そんな時、 元気をくれたのが????だ
????は学校祭のステージでボーカル担当の 同じクラスの女の子。
美嘉のようにじゃんけんで負けたのではな く、
自らボーカルを立候補。
????はギャル系ではなくメイクも全くと言 っていいほどしていない。
ぽっちゃりした体型に 雪のように白い肌。
赤いゴムで二つにしばった髪形がとても似 合っていて、 まんまるの目を細めていつもニコニコして いる。
常に元気で明るくて前向きで、 笑顔がとってもかわいい女の子だ。
????とは地元が一緒で同じ中学校だったけ ど、
挨拶程度の仲だった。
学校祭のバンド練習をきっかけに、 仲良くするようになったのだ。
放課後学校祭で演奏する曲を二人で相談し ていた
「決めておいて」 ギターとドラム担当のじゃんけんで負けた
二人の男は そそくさと帰ってしまった。
「曲どうするぅ?」
鉛筆を回す????。
「う~ん………」
その時 突然頭の中に浮かんだのは、
浜崎あゆみの“who...” ヒロが好きな曲で、
いつも一緒にいる時部屋で聞いていたのを 覚えている。
カラオケで歌ってヒロに喜んでもらおうと cd を買って一生懸命練習したこともあっ たな…。
しかしステージと言えば当然盛り上がる曲 をやるだろう。
“who...”はバラード。 ダメもとで
聞いてみることにした。
「ねぇ、浜崎あゆみの who...とかはど う??」
????は考える様子もなくすぐに口を開く。
「あっ、いいかもね!その曲好きなの!?」
「うん…元カレとの思い出の曲なの!!大切 な曲なんだぁ?」
なんだか恥ずかしくて????の顔を見れずに うつむいた。
「まだ、好きなの…?」 周りの人には
「もう諦めた」だとか、「好きじゃない」と 言って自分の気持ちをごまかしていたけ
ど、 ????の前だとなぜか素直になれる。
きっと????とヒロの間に繋がりがないか ら…。
??は????と繋がっていて????はヒロと繋が っているから 本音を言うことが出来ないでいた。 でも????になら…
「まだ好き…」 沈黙の中、
????の返事を待つ。
別れて結構経つのに、 未練たらしいとか思われたかな??
おそるおそる顔をあげて????の顔を見る と、 ????はニコッと笑って沈黙を破った。
「それでいいと思うよ!無理して忘れなく てもいいじゃん!ずっと好きでいてもいい と思うよ!」
ヒロと別れてから、 周りからは早く忘れなって言われ続けてい た。
この言葉を 誰かに言って欲しかったのかもしれない…。
「…あんがとぉ」 立ち上がり、
興奮した様子で話す????。
「そうだ!who...さ、美嘉も一緒に歌おう よ!」
いきなりの意見にきょとんとする美嘉。
「…えっ、無理っ!!音痴だし!!」
「いいじゃんいいじゃん!私も一緒に歌う からさ?はい決定~!」
強引に 決められてしまった。
ヒロとの大切な思い出の曲を、 一緒に歌おうと言ってくれた????の心遣い には深く感謝…。
who...は一番最後に演奏することになった。 学校祭に向け、
毎日練習の日々。
慣れないベース練習に 指の皮はボロボロ。
だけど????と励まし合い乗り越え続けた。
━学校祭当日
美嘉と????は緊張を隠せないまま、 ステージ裏にスタンバイをしていた。
「あ~次だ!」
「足震えるし!!やばいよこの空気ぃ……」 興奮が隠せない
????と美嘉。
????? 幕が開く音が鳴ると同時にざわめきが静ま
り返った。
「「頑張ろぉ~!!」」 ギターとドラム担当の二人を加えた四人で
手を合わせ、 掛け声をかけてステージへと歩き出す。
ステージ上はライトが眩しく、 ステージ下ではたくさんの人たちに注目さ れているのがわかる。
持ち慣れないベースを肩にかけマイクの位 置を確認していると、 ????が美嘉のほうに近付き誰にも聞こえな いような小声で呟いた。
「弘樹君一番前にいるよ?」 さりげなくステージ下を見る。
一番前列の真ん中にはヒロの姿。
ただでさえ緊張しているのに… 変な汗がわき出る。
?……?
曲が体育館に 響き渡った。
ベース演奏も順調にこなしていく。
…最後のあの曲だ。
“who...”
肩にかけていたベースを壁に立て掛け マイクを手に持つ。
懐かしいあの曲が、 体育館に鳴り響く…。
こんな大勢の前で… いや、ヒロの前で今まさに思い出の曲を歌 おうとしている。
体は硬直し、 胸の鼓動が高まる。
でも最後までちゃんと歌うんだ。 ヒロの心に届くことを願って。
ヒロと別れてからずっと歌えなかった曲。 この曲を聞いて思い出すのはね…
ヒロの笑顔。
懐かしいメロディが、 進み始めた道を再び引き返そうとしてい る…。
ヒロは今こんなに近くにいるのに… 遠いよ。
届きそうもない。
そう、 二人の間に見えない厚い壁があるかのよう に。
演奏は思いのほか盛り上がり、
だけど、
この歌を聞いて、 少しでも美嘉のことを…美嘉と過ごした 日々を
思い出して下さい。
ヒロは今 どんな顔してるの??
しかし、 ヒロが見ていたのは美嘉ではなかったとい うことを後から知ることになる…。
歌が終わり響く歓声の中美嘉と????は達成 感を感じながら抱き合った。
「気持ちいい~!」
「マジ最高~っ!!」
演奏が終わり 興奮冷めぬまま廊下を歩く。
「お疲れ?」 ??だ。
「??!!」
「超よかった?」
「あんがと!!」
「ってかね~…ヒロ君廊下で弾き語りやっ てたよ~!」
「……弾き語り??」
「廊下でギター持って歌ってた!見に行 く?!」
「…美嘉が行ったらヒロは迷惑でしょぉ…」 興奮は一気に冷め、
目線を床へと落とす。
「大~丈夫だって?」 ??は手の跡がつくくらい背中を強く叩い
た。
「そうだよ!行こう?」 ????までもが??の提案に乗り
二人は美嘉の腕をがしっと掴んで歩き始め た。
ヒロの教室の前…。 女の子がたくさん集まっている。 その真ん中に
ギターを弾きながら歌っているヒロ。
「ごめん……」 いざその光景を見ると胸が苦しくなってし
まい、早歩きでヒロの前を通過し廊下の裏 へと回りぺたんと座り込んだ。
「美嘉大丈夫?なんかごめん…」
「でもここでも歌声聞こえるし…ここで聞 こ?」
??と????の励ましをよそに、 遠くからは大好きだったヒロの歌声が聞こ えてくる。
当たり前だけど もう美嘉だけの歌声ではない。
美嘉の歌声、 ヒロに少しでも届いたかな。
ヒロは美嘉がこんなとこで歌声聞いてるな んて知らないんだろうな。
だけどね、 今美嘉の心にすごく響いているんだ…。
遠くから聞こえる大好きだった声に涙を流 した。
学校祭が終わってからも美嘉と????と??は 毎日一緒にいた。
昼食も移動教室もトイレも…。 三人だと一人余って仲間割れになるとか言
うけどそんなの嘘。
だって??も????も美嘉にとっては、 かけがえのない仲間なんだもん。
心を痛めた夏も過ぎ去り秋…。 楽しい秋。
読書の秋? 食欲の秋?
……食欲の秋に決定!!
高校二年の秋と言えばメイン行事… 修学旅行だ。
一年生の時からずっと楽しみにしていたん だ。 自由行動は一緒に回ろうねってヒロと約束 したっけ…。
でも大好きな友達の????も??もいるから、 平気だよ!!
「自由行動は三人で回ろうねぇ!!」 美嘉は
頬杖をつきながら言う。
「もちろぉん?」
「指切りげんまん!」 ????の小指に
指を絡めた。
修学旅行は美嘉??????の三人グループ。 グループリーダーを公平にじゃんけんで決
める。
リーダーは放課後集まりに行かなきゃなら ないから面倒…。
「じゃ~んけ~んしょっ!!」
……負けた。 リーダーは
美嘉に決定。
「マジ~!?」
「美嘉頑張って~!」
修学旅行の予定は着々と進んだ。
今日は放課後にリーダーの集まりがある。
最後の授業が終わり少し時間が余っていた ので、三人は教室で話をしていた。
「マジ恋してぇ~!」 欲求不満気味に叫ぶ??。
「出会いないのぉ?」
「合コンしても軽い男ばっかりだし~。夏 休みにした合コンは最低だったよね~美 嘉!」
????の問いに答えた??は美嘉に話しをふっ た。
「最低だった~…ってか男は信用できな い!!」
「わっかるぅ!とか言ってあたしまだ???? に未練あったり~?」
「本当?」 しかめっつらで??に問う
????。
「マジで!美嘉はヒロ君忘れることでき た?」
「まだかも……」
「なかなか忘れられないもんだよね~!???
?は好きな人いないの?」
「えっ、私は…」 言葉をつまらせた
????を問い詰める。
「いるの?!」
「ぶっちゃけろ~?」
「…いない、かな」 ????は目線をずらしながら答えた。
この時、 ????の変な様子に気付かなかったんだ。
?????? ??????
チャイムが 教室中に響く。
「やばっ、リーダーの集まり行かなきゃ!!」
「あたしと????教室で待ってるから頑張 れ~?」
指定された教室に入るといろんなクラスの リーダーになった人達が集まっていた。
無意識にヒロの姿を探してしまっている 自分がいる。
ヒロがリーダーになんかなるわけないの に。
じゃんけんで負けたとしても、 きっとやらないだろう。
はぁ~…