いくらい何回も幸せだった日々を 思い返して
いつか戻れることを夢見てた。
想ってるだけ
……なんて嘘。
本当はもう一度愛されたいと願っていた。 叶わない願い
この世に一つだけある。
繋いだ手を離すのは簡単だけれど、 離した手をもう一度繋ぐのは難しくてとて も勇気がいるんだね。
追い掛けるものがなくなった今、 怖いものは何もない。
前に進む。 ????は頭を
撫でてくれた。
「行こうぜ!」 ???の一声で
美嘉は??から離れた。
??の何か言いたげな視線を見ないふりし て、
美嘉は????と腕を組み歩き出した。
ホテルの部屋の中は 最悪な雰囲気…。
??も????も美嘉も、
言葉を発する人は誰一人としていない。
唯一テレビの音だけが 沈黙を掻き消す役目を果たしている。
??は何度か美嘉に話かけようとしていたみ たいだったけど、 あえて目を合わさないよう避けた。
次の日から何かが吹っ切れたかのように怖 いくらいテンションが上がり、
三日目の京都も最終日の広島も無理してい るわけではなく純粋に楽しかった。
疲れて寝てしまった帰りの飛行機は、 気が付けば空港に無事到着。
????と???と?????のおかげで、 楽しい修学旅行だったよ!!
自分自身も、 この修学旅行中に何かが変われたような気 がするんだ。
????と?????の恋も 成就したし…
ただ一つ心残りなのは、ヒロとの付き合い を????の口から聞きたかったということ。
言ってくれるのずっと待ってたんだよ?? 今さら言っても、
きりがないけどね。
こんな感じで修学旅行は終わった。
もう 雪降る季節だ…。
修学旅行以来開き直ったのだろうか…
ヒロと????は付き合いを堂々と公表した。
????とは地元が同じなだけあって、 バスが一緒になることもある。
もちろん ヒロも一緒。
だからわざとバスの時間を変えたりした。
ヒロが教室まで????を迎えに来ることもあ って…
だからわざと見ないようにして 窓を見つめたりした。
今でもヒロのことは好きだよ。 でももう戻りたいとは思わないの。 だって戻れないことをわかってるから。
まだ時々胸が痛む時もあるよ? いつか忘れられるよね…
大好きだった人が今幸せならそれでいいん だ。
━12 月…。 雪がちらちら降る。
四人はクリスマスの話題で盛り上がってい た。
「クリスマス近いね?」 ?????に
甘く微笑みかける????。
「お前らはラブラブクリスマスか~」
「うらやましっ?」
美嘉と???は 嫉妬の目で二人を見る。
「みんなで??????????やんねぇ?ワイワイ したほうが楽しいし。俺バイトの先輩呼ぶ から」
「「大賛成?」」
?????のナイスな提案に 三人は声を揃えて立ち上がった。
この??????????で 美嘉の第二の人生が始まる。
クリスマスの前には 期末テスト。
大健闘もむなしく、 結果は散々だ。
数学のテストを受け取って席に着いた時、 席替えをして前の席になった???が振り向 いた。
「何点だった~!?」 ???の行動に
予想する美嘉。
点数を聞いてくるあたり???は良くなかっ たんだな…と。
「???が先教えてくれたら教えまぁ~す?」 ???は美嘉の予想とは逆に自信満々の笑み
を浮かべた。
「100-32 点だぜ!」
100-32 点…68 点。
68 点!?
「美嘉は?」 辺りを見回し
しぶしぶ答える。
「1+2+3+10 点…」 ???はプッと吹き出しチョップで頭を叩い
た。
「ばーか?でも俺歴史それより低かった し!」
「30 点以下は今日から補習だからな~」 タイミングがいい先生の言葉。
案の定美嘉は補習だ。
もうすぐクリスマスなのに。 冬休みなのに…。
今日最後の 授業が終わる。
「補習頑張れよ~。俺はデートだけどな」 嫌みな?????。
「ほっとけぇ!!」
「頑張れ~?」 優しい????。
「は~い、頑張るっ。じゃあまた明日ねぇ?」
別れを告げ 補習がある教室へと向かった。
出来るだけ後ろの席に座るため教室の後ろ のドアを開ける。
?????? ガラーンとした教室。
一番窓側の真ん中あたりの席に見えた眩し いくらいの金髪。
あの後ろ姿は、 ヒロだ。
一年間一緒に いたんだもん。 間違えるはずがない。
ヒロにバレないよう 廊下側の後ろの席に座った。
まさか ヒロも補習だとは…。
先生が来た。
「補習始めるぞ~!1、2、3、4、5…あれ、 一人足りないな。高田??。高田休みか~?」
??… ??も補習なんだ。
今日はサボりかな。
「高田??は今日休みか?学校に来てた か?」
先生が美嘉のほうを見て言うので生徒がこ っちを注目する。
先生のバカッ! ヒロにバレないようにしてたのに。 バレたかも…。
「学校には来てました~でもわかりませ~ ん」
どうせバレたのなら… と開き直る。
「そうか~」 頷く先生に
質問を投げ掛けた。
「先生~補習っていつまで??」 先生は手に持つ紙を
じっと見つめる。
「冬休み前までだからな~、24 日までだ!」
「え~そんなにあるの?!嫌だぁぁ~」
「頑張れ!頑張れば早く帰らせてやるから な!」
補習を受けていた時…
~????
何かが飛んできて頭に当たり、 その何かが反動で床に落ちた。
白く丸まった…紙。 何これ。
顔を上げて紙が飛んできた方向に目をやる と、
感じたのはヒロの視線。
ヒロはジェスチャーをしている。 そのジェスチャーの意味はおそらく
“その紙を拾え”…だ。
紙を拾い ゆっくりと広げる。
紙に書かれた 小さな文字。
【美嘉、なんか変わったな!】
…変わった?? 何が??
それが良い意味か悪い意味かはわからな い。
でもヒロが別れてから初めてくれたメッセ
ージ。
単純かもしれないけど、手紙で“美嘉”と 呼んでくれたのが嬉しかった。
ヒロに向かってあっかんべーをすると、 ヒロはあの頃と変わらないあどけない笑顔 で笑っていた。
補習が終わり教室に忘れ物を取り玄関に行 った時…
玄関の前で話しをしているヒロと????の 姿。
反射的に 靴箱の陰に隠れる。
なんで 隠れてるんだろ…
身動きが出来ないまま、二人の会話がリア ルに耳に入ってくる。
「弘樹補習お疲れ!」 甘えた????の声。
「おー待ってたのか?寒かったろ」
「寒かった!嘘~」
「これ~してやる!」
「やだぁやめてよ!キャハハハ!」 姿は見えないけれど、
情景はわかる。
その場から 動けなかった。
こんな時に… どうしてだろう。
ヒロに出会ったこと レイプされたこと 元カノに嫌がらせされたこと 手首を切ったこと。
妊娠したこと 流産して
抱き合って泣いたこと 川原に行ったこと。
最後のデート 別れの言葉 去ってく後ろ姿。
ヒロが名前を呼ぶ声 ヒロの大きい手 ヒロのやわらかい髪 ヒロの温かい唇。
楽しかったこと 悲しかったこと。
全て…。 全てを
思い出している。
ヒロのこと 恨んだりなんかしない。
今でも好きだよ。 大好きだよ。
でももうヒロの目に 美嘉は映らないんだ。
流した涙は 無駄じゃなかったよね?
ヒロはどんどん前に進んでるのに 美嘉は立ち止まったまま進めずにいた。
別れは確かに辛いこと。でも、他の人と出 会えるチャンスでもあるんだ。
ヒロのお姉ちゃんが言っていたようにもし 運命があるなら またいつかどこかで会えるよ。
大好きだった人の 幸せを願う。
そう決めた…。 唇をぎゅっと噛み締めたのは、
決心をしたから。
ヒロと????にゆっくり近づき、 精一杯の笑顔で言った。
「ヒロ、????
………幸せにねっ!!」
この言葉が本音なのか。今はわからない。 返事を聞かず
真っ直ぐ歩き出した。
もう、 絶対に後ろを振り向きはしない。
立ち止まらない。 迷わない。 夢見ない。
うまく 笑えてたかな?
声 震えてなかったよね?
美嘉 頑張ったよね?
強く握り締めていたせいか汗でしめった白 い紙を…
ヒロからのメッセージを… 強い決意を胸に 雪の中へ投げつけた。
「そろそろ恋 したいなぁ」
込み上げる想いに 空を見上げる。
雲が流れー…
ヒロと別れた日も、 こんなふうに流れていたっけ。
でもあの頃とは違う。 確実に進み始めてる。
この空は今もヒロと繋がっているけど… あの日遠くなってゆく背中を追い掛けなか
った自分を
笑顔で大好きな人の幸せを願った自分を いつか誇りに
思えるように…。
大好きな人 幸せになれますように。
たくさんの日々を ありがとう。
この日を最後に 新しい恋を見つける決意をした。
第十章手袋
冬休みに向けて毎日真面目に補習を受け る。
??ともヒロとも一言も話すことがないま ま、
補習は終わった。
━12 月 24 日
「じゃあ今日のクリスマスパーティーは 6 時に???の家で ok?」
????が体を乗り出す。
「おぅ、俺んちな!」
「楽しみっ!!」
「美嘉は最後の補習頑張れよ」 補習のことなどすっかり忘れていた美嘉に
とって?????からの応援の言葉はとてつも なく気持ちを重くさせた。
辛かった補習も やっと最終日。
今日はクリスマスイブ。そして明日からの 冬休みに期待を込めながら補習を受ける。
「補習は今日で終わりだ。よく頑張ったな。 いい冬休みを過ごせよ!」
先生の言葉で 急激に胸が弾む。
クリスマスパーティーがあるため、
家に帰って用意をしようと軽い足取りで教 室から出た時…
「美嘉!」 遠くから聞こえる
甲高い声。
…??だ。 ??とは修学旅行以来話してないし、
補習の席も離れて座っていた。
??は遠くからこっちへ向かって走って来 る。
「美嘉話せる?」 携帯