逢えることを 期待してたんじゃないの…??
認めたくなかった。 だけど音楽を学びたいだなんてただの言い 訳にすぎなかったんだ。
進路は将来に関わる 大事なこと。
だけど… 大切な人と同じ学校へ行きたい。
【○x音楽専門学校】 進路調査に書かれた
小さな文字。
ヒロと約束した道を 消しゴムで消す。
そしてその上から 大きな文字で書いた。
【k大学希望】 優が通う大学。
優との道を歩むんだ。 後悔なんかしない。
ヒロと一緒に集めた学校のパンフレットを びりびりと破り
ゴミ箱に投げ入れた。
次の日 新しく書き直した進路調査の紙を担任に渡 す。
「やっと大学に決めてくれたか。頑張るん だぞ」
優の通っている大学は、実は結構レベルが 高い。
そんなことも知らずに 決めてしまった。
唯一英語だけは得意な美嘉が受ける学部は
“k大学外国語学部”
優とは違う学部だけど
……仕方ないか。
「??も????も???も?????も今日同じk大学 で進路調査の紙出して来たぞ」
先生の言葉に開いた口がふさがらない。
…やられた!! 全員が
同じ考えだったんだ。
高校を卒業してもみんなと一緒にいられる かと思うと、 自然に笑いが込み上げてくる。
「何一人で笑ってんだよ!?」 教室に戻ってにやけていると、
前の席の???がその様子を見かねて振り向 いた。
「別にぃ~なんでもないよ~ん!!」
「なんだよ~変な奴!」
「ほっとけぇ!!」
??も????も???も?????もすごく大好き。 ???が卒業したら働くって言った時、
感心した反面本当は寂しかったんだ。
でもまたみんな同じ大学に行けるかもしれ ない。
それがすごく嬉しいよ。
恥ずかしいから 口には出さないけどね。
優が大学に連れて行ってくれていなかった ら、
みんなそれぞれの道に進んで、 卒業したらバラバラになってしまっていた かもしれないよね…。
優に出会ったおかげで、良い方向へと歩き 始めている。
優に出会えて本当に良かったと思ってる よ。
この時期に大学を志望して推薦がとれるわ けもなく、 一般入試で頑張るしかなかった。
いつもクラスで 10 番以内に必ず入ってい る????と?????は余裕。
クラスではほぼ平均の??と、 クラスではかなり下である???と美嘉は猛 勉強をせざるをえなかった。
試験は
あと約三ヶ月後の一月。 今がラストスパート。
優のスパルタ教育をうけながら、 必死に勉強をした。
いつもは面倒で寝ていた授業も、 マメにノートをとり大切なところはメモを する。
多分この時期、 一生のうちで一番勉強しただろう。
雪がちらちらと 降り始めた。
マフラーだけじゃ もう寒い季節。
今年もまたあの切ない季節がやって来た。 しかも、
高校生活最後の…。
━12 月 24 日
今日は終業式であり、クリスマスイブでも ある。
一年前の今日 優に出会った。
二年前の今日は… 思い出さない。
そう決めたんだ。
今日特別な日だから勉強を休むつもり。 ってか余裕で休むしかないでしょ!!
街ではキラキラしたイルミネーションとク リスマスソングの下で、 カップルが仲良くしていることだろう。
恋人がいない人やクリスマスの前に別れて しまった人も、
きっといるよね。
想い合ってる人と今日この日を過ごせるこ とに
感謝しなくちゃ…。
今日はもちろん 優に会う予定。
親へのアリバイも バッチリだし?
終業式が終わり、 優の車を待つ間 みんなで教室で話をしていた。
「パーティーしてからもう一年か~」 ?????が窓の外を眺めな
がらしんみりと言う。
「今年はみんなそれぞれでラブラブクリス マスだね?」
「俺いねぇし!」 ????の嫌みな言動に、
舌打ちをしながら答える
???。
「美嘉~優さんにプレゼント買ったぁ?」
「買ってない~…優がプレゼントより料理 作って欲しいって言うからさっ!!」
??の問いに 美嘉はのろけを交えて答えた。
【俺プレゼント交換て苦手やねん。せやか らクリスマスにはプレゼントになんかおい しい料理作ってや!】
数日前に 優が言った言葉。
遠慮してるかな。 でも素直に受け取ろう。
「ラブラブでいいっすね~!」 ???からの嫌みたっぷりの言葉を聞かない
フリしながら、 窓を覗き優の車がいないか探した。
偶然見えたのは 肩を落として玄関から出て来た????の姿
????は一人。 クリスマスイブなのにヒロと遊ばないのか
な??
……どっかで待ち合わせしてるのかな??
余計な心配。 妄想に入り浸っていたその時…
「…嘉?美嘉~?」 ????の声で
どうにか現実に戻ることが出来た。
「…ごめん!!何??」 窓の外を指さす????。
「あれ優さんの車じゃない?」
さっきまではなかったはずの優の車が 校門前に止まっている。
優の車に気付かないくらい自分の世界に入 っていたんだ…。
バーバリーのマフラーを巻き、 机の横に掛けていたカバンを手に取った。
「良いクリスマスを~!!バイチャっ?」 簡単に別れの挨拶を済ませ、
笑顔のまま階段を二段飛ばしで駆け降り た。
玄関を出て 優の車まで走る。
優は車から降り 美嘉に気付いて両手を横に伸ばした。
「ゆ~ぅ~!!」 優に飛び付くと、
優は美嘉を両手で受け止めてるくると回し
体を雪の上にポンと降ろし唇に軽くキスを した。
「苦い…大人の味がするぅ~!!」
「さっきまで煙草吸ってたからな!」
その時、 窓のほうから叫ぶ騒がしい声が聞こえてき た。
よく見れば 美嘉のクラスの窓。
????と??と???と?????が身を乗り出してい る。
「きゃ~ラブラブ~??お似合い?」
「学校でイチャイチャするな~」 冷やかす????と?????。
「俺にも幸せ分けろ~!バカやろ~!」 窓から
今にも落ちそうな???。
「バカップルぅ?」 高音を張り上げる??。
美嘉と優は手を繋ぎ みんなに見せ付けるように教室に向かって 繋いだ手を上げた。
「ええやろ~見物料取るで!」
「あ~、幸せ~!!」
二人のノロけに教室からはギャーギャーと 騒いでいる声が聞こえる
二人はそれをよそに手を振って車に乗りこ んだ。
向かった先は スーパー。
今日のごちそうを作るため材料を 買いに来たのだ
今日作る料理は…
エビチリ?唐揚げ?ちらし寿司?サラダ?クリ スマスケーキだ。
あと、 クリスマスには全く関係ないが肉じゃがを 作る予定。
なぜ肉じゃがかと言えば優が前にポツリと こう呟いたから。
【最近家庭の味に飢えとる~肉じゃがとか な!】
肉じゃがを作るのは優にはまだ秘密!! もちろん
びっくりさせるため?
海老や肉、 イチゴに生クリーム、
卵にじゃがいもなど必要な材料を買い優の 家へと向かった。
車を降り、 トランクからさっきスーパーで買った材料 たちを出す。
袋を持ち上げようとすると、優はその袋を 強引に奪った。
「女の子は荷物持ったらあかん。荷物持つ のは男の役目やから!」
こんなさりげない優しさ好きだったりもす る。
優に荷物を持ってもらいエレベーターに乗 り部屋へと向かった。
部屋に入り、
さっそく料理の準備を開始。
料理は結構得意なほうだけど、 好きな人に作ったことはないから、 実はかなり不安だし緊張しているんだ…。
肉じゃがなんてあまり作ったことないし、 昨晩徹夜で練習したけどうまく作れるかな ぁ。
まだ夕食の時間にしては早いが、 時間がかかる可能性もあるので作り始める ことにした。
「絶対キッチンに来たらだめだからね っ!!」
エプロンをつけながら強く念を押し 料理にとりかかる。
だって作ってる姿って恥ずかしいじゃん!!
エビチリもサラダもちらし寿司も作り方は そんなに複雑ってわけでもないから成功。
唐揚げは多少こげてしまったけれど 味はなかなかのもんだ。
そして肉じゃが…。
じゃが芋の皮を包丁で剥いていた時だっ た。
「…痛ぁっ……」 切った指から血が滴る。
優に声が聞こえてないことを確認し 血を水で流し再び切り続けた。
指切ったことバレたら 恥ずかしい…。
練習した甲斐あって
大成功!!
残るはメインの クリスマスケーキ。
生地を オーブンに入れる。
生クリームを泡立て、 生地が焼けたところでクリームを塗る。
苺をのせ……完成。 見た目は完璧だ。
時間かかったけど、 頑張って良かったー…
余っていた生クリームをペロッと舐めた時 重大なミスに気付いた。
生クリームが しょっぱい…。
砂糖と塩を間違ってしまったみたい。 作り直す時間も
材料もない。
多少ヤケになりながら、お皿にケーキをの せテーブルへと運ぶ。
あれ?? 優がいない。 どこ行ったんだろ。
全ての料理をテーブルに運び終えた時、 優が外から帰って来た。
「完成したん?おぉ~豪勢やな。うまそう やん!早く食いたい!」
料理が完成したのは案の定夕食の時間をと っくに過ぎた頃だった。
「いただきまーす?」
全ての料理をおいしいと言って食べ続ける 優。
特に肉じゃが。 口に頬張りおいしそうに食べている。 練習した成果あり!!
「ほんまにうまかった。美嘉いい嫁になれ るわ!ごちそ~さん!」
こんなに喜んでもらえると心から作って良 かったと思える。
お腹もいっぱいになり、テレビを見ながら いろいろな話をした。
去年のクリスマスパーティーのこと、 遊園地に行ったこと、 優が告白してくれた日のこと…。
思えば去年優に出会った日から、 笑うことが多くなった気がする。
優は元彼に未練がある 美嘉のことを支えて来てくれた。
辛いこともたくさんあったと思う。 だけど笑顔で支えてくれたね。
優には本当に本当に 感謝しているよ。
「そろそろケーキ食べてもええか~?」
「ケ…ケーキはまだダメぇ!!」 ケーキへと伸ばす
優の手を止める。
「なんでやねん!こんなにうまそうなの に~」