。
…と一人納得する。
『大丈夫大丈夫?????によろしく伝えとい て~!!』
『了解。ほな面接頑張ってな~!』 家を出て、
着いたのは 4 時 40 分。
不吉な時間だ。 まぁ、
4 時 44 分よりはいいけどね…。
ちょっと早く着きすぎたかな?? でも遅刻するよりはいいかぁ?
面接の緊張からかなぜかテンションは上が
中に入ると、 癒される音楽。
それに反する子供の泣き声。
受付のちょっとぽっちゃりとしたお姉さん に話しかけた。
「あの、昨日連絡した田原です。」
「田原さん、お待ちしておりました。こち らへどうぞ。」
ニッコリ笑い、 個室へと案内してくれたお姉さん。
「もう少ししたら先生が来るのでお待ち下 さいね。」
そう言って受付へと 去って行った。
もし美嘉がここに合格したら、
これからさっきのお姉さんがしていたよう に受付に座って仕事するんだ。
なんだか緊張して胸がドキドキして来た…
その時、 ゆっくりと開くドア。
「田原さんですね?」 おそらくと言うか、
確実に歯科医師だ。
医師はマスクを取り、 美嘉の向かい側のイスに座る。
「田原美嘉です。よろしくお願いします。」
医師に履歴書を差し出す 今日の授業中に一生懸命書いた履歴書を…。
小柄で痩せ型の医師。 歯科医師なのになぜか歯並びが悪い。
歯科医師だから歯並びがいいわけじゃない んだ…
顔を見つめながらそんなことを思ってい た。
以外と余裕があるのかも
医師はしばらく履歴書を読み、 そして顔を上げて質問を投げ掛けてきた。
「18 歳…だね?」
「はい。」
「週何回働ける?」
「3 回でお願いします」
「田原さんは、一人暮らしかな?」
「…えっ?」
一人暮らしかなんて関係ないじゃん… と思いながらも沈黙に耐えられず答えた。
「一人暮らしですが」
「じゃあ明日から来て下さい。」
「はい!ありがとうございます!!」
「じゃあとりあえず今日は帰っていいよ。」
「よろしくお願いします!!」 帰りに、
受付のお姉さんに頭を下げ外に出た。
嬉しいから優に電話をかけちゃえ!!
???????
『はい~』
『優!!バイト受かったぁ?明日から?』
『もう決まったん?早いな!おめでとさん?
俺と遊ぶ時間も作ってなぁ』
『もっちろぉーん?じゃあ明日ね!!』
バイトするのが楽しみなわけじゃない。 ただ合格したのが嬉しかった。
次の日からさっそくバイトへ向かう。
「おはよ~ございま~す!!」 基本は元気に挨拶でしょっ。
「しぃ~。患者さんいるから静かにね!」 受付のお姉さんに叱られてしまった。
お姉さんの名前は、 林さん。
もう 2 年もこのバイバイ歯科で働いている らしい
今 22 歳で、 バイトではなく就職したんだって…
今日はバイト初日だったので、 林さんから仕事を教わった。
受付やカルテ整理、 会計…。
覚えることの多さに 頭は混乱。
「これで全部。今日はもう終わりだよ!」
白衣から私服に着替えようとロッカー室に 行くと
林さんは周りを確認しながら美嘉に近付き 耳打ちをした。
「先生に気を付けて。セクハラみたいなそ
ーゆーのでやめてく子たくさんいるから…」
「え、それって…」 詳しく聞き出そうとした時、
遠くから医師が林さんを呼ぶ声が聞こえ た。
「じゃあ、お疲れ様!」 林さんは医師のもとへと走ってゆく。
歯科を出て歩きながら考えた。 先生に気を付けろ?
セクハラ?? やめた子がたくさんいるって…??
林さんが言った中途半端な言葉のせいで、
妄想を巡らせていた
バイトは週三回行き、 仕事も覚えて来た。
大学の授業もきちんと受け、 普通の大学生活を送っていた。
夏の気配も近づく 6 月下旬。 もうそろそろ大好きな海開きの季節。
いつものように授業を受けていると、 携帯電話が震えた。
??????????? 受信:?? ??だ。
《美嘉??今日暇っ子だったりするぅ!?ぁー そぼぉ(u3u)/》
…ったく??は授業サボりすぎだからぁ~!! でも今日はバイト休みだしー!!
??と遊ぶのも久しぶりだしいっかぁ?
送信:??
《いいよ~ん?》
??からの返信は早い。
送って 1 分以内には必ず返事が来る。
受信:??
《ヤッピ~?美嘉ちんぁりがとぉ(-3-)???ぢ ゃあ5時に正門前に集合なりぃ~!!!!!》
メールだけでもなんとなく??のテンション の高さが伝わって来るから不思議だ。
今日最後の授業が終わり
??に別れを告げ真っ直ぐ正門へと向かっ た。
「美嘉ぁ~!!!!!!お久だっちゃぁ~?」 既に正門にいる??。
しかも、 キティーちゃんの着ぐるみを着ている。
「??着ぐるみかわいぃ~?超似合うしっ!!」 ??は嬉しそうにを飛び跳ねる。
「わ~いわ~い?かわいいって言われちっ たぁ~!!!!???!!!」
そして美嘉に向かって大きな紙袋を差し出 した。
「何??」
「みたらわかる~!!!!」
紙袋を覗くと中にはくまのプーさんの着ぐ るみが…。
それを取り出し、 ??の顔を見た。
??は八重歯を出してニッと笑っている。
「それね~美嘉が着るやつ~?今日は二人 で着ぐるみデートしようぢゃん!!!」
ゲッ!! まじ?
着ぐるみなんて恥ずかしい…
…なーんてのは嘘で、
ノリノリで大学のトイレで着ぐるみに着替 えた。
実はこーゆーの大好きだったりもする?
「あ~美嘉似合う似合う~!!!!本物のプーた ん見たい~???」
着ぐるみに着替えた美嘉を見て??が笑う。
「あ~それひどくない!?チビで体丸いっ てこと~!?」
「嘘~の反対の反対の反対の反対の反 対~!!!!!!!」
????と笑う??を、 軽く叩いた。
その格好のまま、 カラオケへと向かった。
周りの視線が痛いほどに感じる。
話しかけてきたり着ぐるみを触ってくる人 もいる
なんだか新しい世界を知ったみたいで楽し い!!
??がいなかったらきっと一生着ぐるみ着て 外歩いたり出来なかったかも…
途中でゲームセンターに入り、 プリクラを撮ることにした。
プリクラ機の中にいるといきなり後ろから 入って来た三人の男。
「ねーねー二人で何してんのぉ~?」
「実はさっきからあとつけてたんだよね?」
「着ぐるみ似合うじゃん良かったら遊ばな い?」
ロン毛でスウェットのジャージ。 いかにも軽そうな三人組
でも、
結構イケメンだからもしかしたら??は遊び たいって言うかも…。
どっかいなくなって!!って言いたいけど、 あんま強く言って逆切れされたら困るしな ぁ…。
男を睨みつけながら断る方法を考えている と??が口を開いた。
「ちょっとぉ!!!!!今二人でデート中なんだ から邪魔すんなょ!!!!ぅちら男いっから?あ んたらょりイケメンだしぃ~ね、美嘉ァ?」
突然話を振られ とりあえず答える。
「そ…そうだよ!!うちら彼氏オンリーだし っ!!」
「チェッ~…」
「つまんねぇ」 男達はぶつぶつ文句を言いながら、
いなくなった。
「ぁ~良かった!!!!!!なにあぃつらぁ~!!!??? ???って感ぢ。ぅちらのデート邪魔しやがっ てぇ!!!」
美嘉は??を尊敬の目で 見つめていた。
嫌なことは嫌ってハッキリ言えて、
しかもちゃんと彼氏いるからってキッパリ 言えて…
美嘉は後先のことを気にして言いたいこと が言えなかったりする時もあるから、
そんな??がカッコよくてうらやましく感じ る。
ギャルって美嘉の勝手な想像では性格悪く て男好きで軽くて…
そんなイメージがあったんだ。
だけどそのイメージは??に出会ったことに よって、
みごとに壊されてしまったのだ。
プリクラを撮り、 再びカラオケへ向かった
受付を済ませ、 部屋に入る。
「ドリンクどぉする~!?!?…ってかもぅ大学 生だしぃ~もちろん酒以外は禁止ってやつ ぅ???」
大学生と言ってもまだ 18 歳だから駄目じ ゃん…
心で突っ込みながらも 気にせず頼む。
「美嘉はね~カルーアミルク~?」
「ぢゃぁ??はぁ~ビールにしょうっと???」
??はフロントに繋がる電話に手を掛けた。 ビールは大学生になってから、
サークルの飲み会で一度飲まされたことが ある。
苦くてまずくてすぐに吐き出したっけ…。
もともと炭酸が苦手なこともあったし、 あんなに苦いの飲めるはずないよ!!
いつか大人になってビールがおいしいって 言える日が来るかもしれない。
その日まで待つ!! 今はカクテルか酎ハイ系しか無理。
「っか~!!!!!やっぱビールはいいわぁ~??
このために生きてるねぇ~!!!」
ドリンクと共に頼んだおつまみを食べなが ら、
まるで 18 歳の女とは思えない親父のよう な姿でおいしそうにビールを飲んでいる?? を、
ちょっとだけ羨ましく思えたりもするの だ…。
「ほらぁ~美嘉も飲んで飲んでぇ!!!!!!」 ??にせかされて、
カルーアミルクをゴクンと飲む。
お酒が弱い美嘉はすぐに酔ってしまい…
ぃ~!!!!!」
「イェェィイェイ~ !!??~楽しんでる ぅ~??」
いつの間にか酔ってしまって、 立ち上がりながらマイクを離さなかった。
「バッチリチリ~!!!!!超楽しいからぁ~??」 ??も少し酔っているみたいだ。
まぁ、
??は酔っても酔わなくてもテンションは高 いんだけどね…。
散々暴れるに暴れて、 声も出しすぎて枯れ始めた頃…
酔いもだんだんと冷めて今度は頭痛に襲わ れイスにもたれかかっていた。
「美っ嘉ぁ~!!!???大丈夫?????心配だっち ゃぁ~…!!!」
??の声でさえ頭に響く。 ??は確実に美嘉より飲んでるのに、
なぜ元気なんだろう…。
自分のお酒の弱さを改めて実感させられ る。
「う~ん…大丈夫。」 残っている力を振り絞り返事をした。
??は一度部屋から出て行き、
そしてすぐに戻って来て美嘉の頭にひんや りと濡れたハンカチを置いた。
「ハンカチ濡らして来たなりぃぃ~???