動きから、 携帯電話をいじっている様子だ。
「?ー?っ!!??ちゃん心配してたよん?」 靴を脱いでテントの中に入り、
背を向けている??を覗き込む。
その時やっと気付いた。 ??がいじっているのは、美嘉の携帯電話…。 とっさに思い出したのは昨日????さんと送
り合ったメール。
??は突然立ち上がり、 美嘉の顔に携帯電話を投げつけた。
「美嘉最低!」
美嘉は口を開けたまま ??の姿を見つめる。
??は美嘉を見下ろし、 威勢のいい声で叫んだ。
「????さんが??ちゃんのこと好きなの知っ てて協力してたんでしょ!?あたしと??ち ゃんが早く別れればいいって陰で笑ってた んでしょ!?」
そのまま外に出て行ってしまった??。 美嘉はテントに座り込み動けずにいた。
??…違うよ。
??ちゃんと????さんがうまく行けばいいな んて
思ってないよ。
投げつけられてほっぺにあたった携帯電 話。
ひりひりと痛んでいる。
美嘉はね、
??と??ちゃんが上手くいけばいいと思って るよ。
別れて欲しいなんて思ったことなんかな い。
友達の幸せを願うのは当たり前じゃん…。 でもね、
????さんの気持ちもわかるんだ。
気持ちを伝えて諦めたいって気持ちもわか る。
????さんだってね、
??ちゃんに気持ち伝えたら諦めるって言っ てたもん。
確かにメールだけを見たら誤解されるかも しれない。
でも、
??ちゃんは絶対??を離したりはしないと思 ったから…
だからせめて????さんにはきっぱりけじめ をつけて諦めてもらいたかったの。
美嘉は 間違ってたのかな…??
その時、 テントの外で??の叫び声が聞こえた。
嫌な予感。
急いでテントから飛び出て叫び声のほうへ 走る。
…予想は的中。
目の前には????さんの胸倉を掴んでいる?? の姿。
信じがたい光景。
「人の彼氏誘惑するんじゃねーよ!ってか 人の彼氏に惚れるなよ!」
??が悲鳴に近い声で叫ぶ 周りにいたみんなは
何が起こったのかわからずに呆然とするば かり。
????さんは美嘉を強く睨みつけた。
きっと美嘉が??に????さんの気持ちをバラ したのだと勘違いしたのだろう
仕方ないよね。
??が美嘉の携帯を勝手に見て… なんて言ったって、 この状況で信じてもらえるはずはないし。
ますますややこしくなるだけだから。
「あんたがいなきゃ??ちゃんは…??ちゃん は…全部あんたのせいだ!」
そう言って??が手を上げた時…
「やめろよ!」 ????さんの前に立ちはだかったのは、
??ちゃんだった。
これは紛れもない現実。
「どいて!なんでそんな女かばうの!?」
声を張り上げて叫ぶ??に ??ちゃんは????さんを守りながら言った。
「??…ごめん」 ??は一度挙げた手をおろし、
どこかへ走り去ってしまった。
????さんは泣き出してしまい、
??ちゃんに肩を支えられたまま二人で消え ていった。
「え~何今の」
「どーゆーこと?!」 みんなはざわめく。
ただ一人、 美嘉だけが状況を把握していた。
…わからない。
なんで??ちゃんは????さんをかばった の??
なんで走って行く??のことを追い掛けなか ったの??
楽しかったキャンプも、いっきに嫌な雰囲 気に変わってしまった。
??が美嘉の携帯電話を勝手に見るなんて… 予想もしてなかったよ。
??きっと誤解したよね。
美嘉が??ちゃんと????さんを協力してると 思ったよね…。
??ちゃんが??を追い掛けないで????さんを 守るなんて、
思ってなかったんだよ…
美嘉はテントに戻り、 寝袋に潜り込んだ。
????と??は二人に何があったのか…などを 討論していたけど、
聞かないフリをしていた
「美嘉起きとる?ちょっと出てこれへん か?」
テントの外から聞こえる優の声。
「ヒューヒュー?ラブラブぅ!!!!!!!」
「行ってきなさい?仲良くね!」
????と??に冷やかされながらテントを出 る。
優は何も言わないまま手を繋ぎ 海のほうへと歩き始めた
真っ暗なのに 波の音だけがリアルに響く。
波の音に吸い込まれてしまいそう。 二人は砂浜に腰をおろした。
あれから戻って来ない??のことが、 かなり気になっている。
優は波の音に負けないくらいの大声で話し 始めた
「??からだいたいのことは聞いた。」
きっと全て美嘉のせいになってるんだろう な…
そう思うと自然にため息が出てしまう。
優は美嘉の返事を待たずに話し続けた。
「美嘉は悪くないから心配しなくてええ よ。あいつがハッキリしなかったからこう なったんや」
繋いだ手をぎゅっと握ると、 優もぎゅっと握り返してくれた。
優はいつだって味方でいてくれるね。 美嘉のことならなんでも知ってるもん。
その時、
すごく遠くのほうの外灯の下にうずくまっ てる??の姿が見えた。
優は立ち上がり、 美嘉の手をぐいっと引いて起こす。
そして携帯電話を投げつけられて少し腫れ たほっぺを優しく指先でさすった。
「痛かったやろ…」 ??のほうばかりを気にしている美嘉。
優は頭を撫で、 ??をちらっと見た。
「大切な友達やろ。行ったれ!」
「でも…」
「俺はここにおるから」 ピースをしている優。
美嘉は??に向かって 走った。
??のほうへ向かう途中、ふと考えていた。
優は美嘉と??を仲直りさせるためにわざと あの場所に連れて行ったんじゃない の…??
美嘉から??がちょうど見える場所にわざと 座った
優はそうやって自然にきっかけを作ってく れる。
見返りを求めるわけでもなく、
ただ人のためにいろんな機会を作ってくれ る。
そーゆー人だから。 そこも大好きなんだ!!
うずくまった??に近寄り おそるおそる声を掛けた
「??…?」 ??は一瞬体をビクッとさせ、
そしてすぐに叫んだ。
「来ないで!」 あまりの迫力に、
くじけてしまいそう…。
でもくじけない。
「??ごめんね…」 ??は何も答えてはくれない。 沈黙に耐えられず、
話し続けた。
「美嘉ね、??と??ちゃんを別れさせたかっ たわけじゃないよ…。????さんが??ちゃんに 気持ち伝えたら諦めるって言ってたから…? ?本当ごめん。」
それでも??からの言葉はない。
「??…」 美嘉が??の頭にそっと触れると、
??はその手を強く振り払い小さな声で言っ た。
「わかってたよ…??ちゃん…さんが…の写 真…」
波の音でとぎれとぎれにしか聞こえない。 美嘉は??にさらに近寄り ゆっくり聞き返した。
「ごめん、もっかい言って…?」
??は鼻をすすりながらも再び口を開いた。
「あたし…知ってた。????さんと??ちゃんが 付き合ってたの…??ちゃんの部屋で写真見 たの」
??は知ってたんだ。 知ってて気付かないフリしてたんだ。
「????さんが??ちゃんに未練あるのも知っ てたし…??ちゃんもずっとずっと????さん に未練あったと思う」
「??ちゃん????さんに未練あったの…??」
「女の勘…ってやつ?だから??ちゃんと一 緒にいてもずっと寂しかったんだ…」
??と??ちゃんはラブラブで、 悩みなんかないと思っていた。
「ごめん…」 自然に言葉が出てきた。
「なんで美嘉が謝るのぉ…あたし美嘉と優 さんがずっとうらやましかったの。なんか… 仲良しでさ。だから壊したくなって別れた らいいのにって思ったこと何回もあった… マジごめん…」
??が言っていたことの理由が、 今判明した。
??は悪気があったわけじゃないんだよ ね??
自分は??ちゃんと一緒にいても寂しくて、 だから美嘉と優に嫉妬してたんだよね。
「??…??ちゃんともう一回話してみなよ!! 好きならちゃんと話して気持ち伝えな よ!!」
両手で??の肩を掴み、 体を揺らす。
??はゆっくりと顔を上げた。 たくさん泣いたのか、
ポッコリ腫れている目。
「もうダメなんだぁ…さっきフラれちゃっ たぁ。やっぱり????さんが好きなんだって
ぇ…」
美嘉は何も言えずに肩を掴んだ手を離し、 ペタリと座り込んだ。
??と??ちゃんが別れた…??
だってあんなに最近までラブラブだったの に…
そーっと手を伸ばして ??の頭を撫でてみた。
手で涙を拭く??。 星を見つめている。
「美嘉勝手に携帯見てごめんね。あとさっ き携帯ぶつけちゃってごめん…美嘉悪くな いよね…」
そして星を見上げた目から、 再びポロポロと涙が溢れ出た。
何も言ってあげられることも出来ずに、
ただ??の体をぎゅっと抱きしめることしか 出来なかった。
「??…辛かったね…苦しかったね…」
??は声を出して泣き叫んだ。
我慢していたものが全て溢れたかのよう に…
そして落ち着いた頃に、少し笑いながら呟 いた。
「これも“青春”の 1 ページなのかなぁ…。」 ??をテントまで運び、
寝袋に寝かせた。
????と??は遊び疲れたのか、 すでに寝てしまっている
??いびきうるさいし…。 テントを出て行こうとすると、
??は美嘉の手をがしっと掴み背を向けなが ら言った。
「美嘉…美嘉は優さんと幸せになってね。じ ゃないと承知しないから!」
ゆっくりと掴んだ腕が離れる。
美嘉は何も言わないまま優が待つ海へ走っ た。
「美嘉おかえり。」 優の横に座り、
そのまま砂浜に寝そべって星を見た。
??ちゃんは、
??が????と別れてから初めての彼氏だっ た。
????と別れてから元気なかった??を、 ??ちゃんが笑顔にしてくれてたんだよ。
つい最近までラブラブしてたじゃん。
今日だって手繋いで幸せそうに歩いてたじ
ゃん…
ずっとずっと????さんが好きだったなん て、
そんなのひどすぎるよ。
??ちゃんと????さんは前から両思いだった んだ。
??はそれを知っててずっと…。
????さんが??ちゃんのことを好きって聞い た時、
昔の自分と重ねて 同情