した。
元彼に彼女が出来て、 それを見るのは辛いだろうなって…。
でも一番辛かったのは??だったんだね…。 大好きな人と一緒にいるのに、
自分のことを見てくれていない。
そんなの、 寂しすぎるよね…。
頭の中で、
??が??ちゃんと笑っている姿を思い出して いた。
二人で手を繋いで歩いている姿だとか、
??が幸せそうに??ちゃんの話をしている顔 だとか…。
そんなことを考えているうちに、 なぜか涙が溢れて来た。
自分が失恋したわけじゃないのに… どうしてだろう。
それくらい悲しい。
仲良しだった二人が突然離れる瞬間を見 て、
“恋”ってはかないものなんだと感じた。
??と自分を重ね合わせてしまった部分もあ る。
今隣にいる優も、 いつかは離れてゆくのかもしれない。
もしくは、 美嘉から離れてゆくのかもしれない。
手で顔を覆いながら泣いた。
“永遠” ってこの世に存在しないのかな??
わからない…。
こんなに辛くてもこんなに悲しくても、
これが“青春”だったと笑って言える日は 本当に来ますか…??
優は何も言わずに手を握っていてくれた。 潮風が涙を乾かし、
涙で濡れていた頬がひんやりとする。
さっきまで遠くで聞こえていた声も次第に 少なくなり、 波の音だけが静かに響き渡っていた。
なぜかさっき??とした線香花火がポトリと
落ちる光景が頭にぼんやりと浮かぶ。 まだ目の奥が熱い…。
生ぬるい風が吹き抜ける夏の夜、
少しだけ冷えた体に繋いだ手だけが温かか った。
「恋って難しいね。」 美嘉の問い掛けに、
「そうやな。」 と優は答える。
「でも好きになる気持ちはみんな同じだよ ね。」
「ほんまやな。」
二人はそれぞれにいろんな想いを抱えてい た。
口には出さないけど、
なんとなく同じことを考えているような気 がするんだ…。
【美嘉は優さんと幸せになるんだよ】
さっき??が言った言葉が心の奥に引っ掛か っていて、
いつか来るかもしれない“別れ”に強い不 安を感じ、優の手を強く握りしめた。
体を起こし優の肩に寄り掛かると、 優は美嘉の肩をそっと抱き寄せた。
この先何があるかわからない。
優もヒロのように突然去って行くかもしれ ないし
??ちゃんみたいに元カノが現れたらそっち を選ぶかもしれない。
美嘉にだってもっともっと好きな人が出来 て、
離れてしまう日が来るかもしれない。
この楽しい時間がいつまで続くかなんて、 誰にもわからないよね。
そしてそんなの、 知りたくもない…。
長い人生だもん。 何があるかなんてわからないよ。
ずっと一緒に居られる保障なんてどこにも ない、
ずっと笑いながら同じ道歩んでいける保障 なんてどこにもないの。
人はみんなそんな不安を抱えながら、 それでも恋をするんだね
それでも人を好きになっていくんだ… 不思議だね。
「ハックション!!」
昨日ソファーでそのまま寝てしまい風邪気 味だったせいで、
くしゃみが出てしまった
「大丈夫か?」
心配そうに顔を覗き込む優に美嘉は笑顔で
答える
「全然大丈夫!!」
遠い場所でこんな夜に優と二人でいるなん て
なんか変な気分だ。
「風邪悪化したら困るで。そろそろ戻るか」 手を離し立ち上がろうとした優の服のすそ
を伸びるくらいに引っ張る。
「行かないで…」 わからない。
理由はわからないけど、なんか不安なの…。
こうして二人で遠くに旅行に来れるのは 今日が最後になる気がするの…。
優は一度立ち上がろうとした腰を再び砂浜 へと降ろし、
「来るか?」 と足の間を指さした。
ちょこちょこと足の間に移動すると、
優は後ろから美嘉の体を包むように抱きし めた。
「星キレイやなぁ」 上を向く優のマネをして美嘉も上を向く。
この態勢のまま二人で海から星を見たのは あの時… そう、優が美嘉に告白してくれた時以来。
優は覚えているかな? でも今見える星は、
あの時よりずっとずっとキラキラ輝いてい るよ。
「あれがきっとなんかの星座やな」
星を指さす優。
美嘉は星を見ずに、 優の手を見つめていた。
この手はいつも美嘉を優しく包んでくれ て、
守ってくれる。
まるで壊れものを扱うようにそっと…。 いつも何度も、
助けられて来たよ。
優の手を離さなければいけないのは、 いつ、
どんな瞬間ですか…?
美嘉は優の手を両手で握り、 そして手の平にキスをした。
大きくて温かくて… 大好きな優の手。 何度も何度もキスをした
優は美嘉のアゴを指でくいっと動かし、 二人の唇は重なり合う。
波の音と潮の香りが、二人を始まったあの 日へと引き戻そうとしているようだ。
風が吹くたびに優の髪が美嘉の頬へとあた り、
くすぐったいような…でも優が近くにいて くれてるという安心感を与えてくれる。
さっき見た星空があまりにキレイすぎて、 目を閉じていても鮮明によみがえって来
る。
重ね合った唇をゆっくりと離し二人の吐息 が一緒になった時、 美嘉は優の体を強く押し倒した。
「美嘉?どうしたん…」 優の言葉を遮り、
美嘉は優の上に乗ったまま再びキスをす る。
なぜかとても不安で… なぜかとても愛を感じたくて… なぜかとても一つになりたいの。
言葉なんかいらない、 ただ思いのままに行動する。
始めて来た遠い地が、 美嘉を大胆にさせてくれたのだろうか…
いや、違う。 一つになりたい。 優と今一つになりたい。 ただそれだけ。
ゆっくり唇を離し、 横になった優にしがみついた。
「優?????」 なんでだろう。
なんでこんなに不安になってるんだろう。
優とはうまくいってるのに。 喧嘩したわけじゃないのに。
優はずっと美嘉を離さないでいてくれ る??
どんなに辛くても…
何があっても… 手を離さないでいてくれる??
今すごくすごく愛しいと思ってるの。 だから一つになりたいの
優は微笑み首に軽くキスをした後、 美嘉の肩を掴み起き上がった。
そして今度は美嘉の体をそっと砂の上に倒 す。
「ダメ!!今日は美嘉が???」
優は美嘉の言葉を遮り、唇を重ねながら言 った。
「このほうが???美嘉が俺の女やって実 感できてええねん」
優の舌が美嘉の口へとゆっくり入り、 自然に声が洩れてしまう
波の音で声は掻き消されているはずなの に、
離れた場所にあるテントにみんながいると 思うとなんとなく落ち付かない…。
美嘉はそのまま優に身を委ねた。
風で飛んできた砂が目に入り、 涙で滲む。
ちょうど真上に見える星空もぼんやりして いて…
その時、 ぼんやりとした視界の中に流れ星を見た。
【みんながずっとずっとずーっと幸せであ りますように???】
心の中で流れ星に願う。強く願う。
冷えた体に、 温かい手が心地よい。
体がだんだんと、 熱を増す。
しかし優の手は、 突然動きを止めてしまった。
焦る気持ち。 溢れる不安。
「優…??」 不安げな表情の美嘉の手を強く握る優。 嫌な沈黙。
波の音だけが
響いている…。
優は低くかすれた声で 沈黙を破った。
「…出来へんねん」
出来ない? なんで??
頭の中で嫌な妄想がぐるぐると駆け巡る。
さっき一つの恋の終わりを見てしまったか ら
余計に…。
“なんで??” 口に出して聞くのが
怖い。
傷つくような 気がするから…。
…傷つきたくないために逃げる自分、 全然成長してないな。
長い沈黙に、 胸の鼓動が体中に 響き渡っている。
優は髪の毛をやさしく何度も撫で 耳たぶの近くに顔を寄せ小さく呟いた。
「俺もしたいけどな、用意とかしてへんか ら…ごめんな。」
優の吐息に めまいがする。
それでも優が言った言葉の意味を考えてみ た。
用意。 用意って何??
あ!! もしかして…。
優が言っている
“用意”
ようやく一つの 結論が出た。
当たってるかは わからないけど…。
「そっかぁ~…」
残念そうに答える美嘉に優は再び耳元で囁 く。
「朝日が昇るまでイチャイチャしてよう な!」
その時、 ふと思い出したあの光景
スウェットに着替えていた時 確か??が…
「夏の海は何が起こるかわからないからね ぇ!!!!!!!!」
そう言って差し出した…
こっそりポケットの中を確認すると、 やっぱり入っている。
??ナイス!! 大感謝??
心を踊らせながら??から貰った物を取り出 し
ぎゅっと握った。
…さてさて どうやって切り出せばいいのやら。
突然出したら やる気満々だと思われるかもしれないし。
でも優がそれくらいのことで美嘉のことを 嫌いになったりは
絶対…しないよ。
根拠はないけど 自信がある。
「優~コレ…!!」
そしてポケットから出して握っていた物を 優の目の前に差し出すと
優はガバッと起き上がりそれを指先掴ん だ。
「…なんで 持ってるん!?」
やっぱり優が言う
“用意してない”は
??がくれたアレ…
“???がない” を意味してたんだ。
「えへへぇ~ちょっとねぇ~?」 少し照れながら鼻の下を手でこすり、
優に抱きついた。
「エッチやな!」 いじわるな顔で笑い、
抱きついた美嘉の髪をくしゃくしゃ撫でる 優。
「もぉ~。ムードないし~!!」
口をプクッと膨らませながら怒る美嘉を、 優はやさしい目で
見ていた。
「ごめんな。怒らんといて!」
「??だ!!優のバー…」
再び言葉を遮り優は美嘉の頭を引き寄せ強 引にキスをし、 すぐに離し美嘉のほっぺをつねった。
「で、…その続きはなんやねん?」
「いじわるっっ」
優は上着を脱ぎ
それを砂浜に敷いてその上に美嘉の体を倒 す。
「さっき砂の上に寝かせてごめんな」 一つ一つの気遣いに、
優が自分より大人であることを実感する。
満天の星空の下。 初めての場所。
二人が出会った場所。
重なった最高のシチュエーションが きっと二人を