大胆にしたんだ。
…優は意地悪だ。
いつも美嘉を いじめるから。
最後にはいっつも我慢出来なくなって求め てしまうのは
決まって美嘉のほう。
嫌じゃないんだ。 だけど……。
美嘉ばかり好きなのかなって不安になる時 も
たまにあるよ。
今まで優にたくさん素を見せてきた。
優はそんな美嘉の姿を見て笑いながらいつ も
「かわいいな」って言ってくれるから…
だから安心してさらけ出すことが出来る の。
それは嬉しいけど… もっと優の素が見たい。
美嘉のことを 求めて欲しい。
どんなにかっこ悪くてもいいから… ただがむしゃらに求めて欲しい。
大人だからとか 関係ないよ。
優は決して美嘉に無理強いしたり、 嫌なことを求めたりはしてこない。
溶けそうなくらい暖かい体温でやさしく抱 いてくれるんだ。
優…。 優の全てが見たい。
「俺もうやばいわ…ええか?」 優の突然の言葉。
目を見開く美嘉。
だってね、 今…まさに今、
優に言わせてみたいと思った言葉。
ずっと、 そうやって求めて欲しかったの。
「…えっ??」 驚きのあまり、
聞き返してしまった。
「もうええか…?ほんま我慢できへんね ん。」
そっと唇が重なる。 優の吐息混じりの声があまり色っぽくて、
体がゾクゾクと震える。
優が美嘉を求めてくれたのは、 初めてだった。
今ね、 すごくすごく嬉しいよ。
「うん、来て…」
「美嘉。俺は離れたりせんから…絶対傷つけ るようなことはせんから…」
心の奥に潜んでいた小さな不安がどんどん 取り除かれてゆく。
そして指を絡め合ったまま一つになった。 二人が始まった海で…
気付けば 朝日が昇っている。
海で朝日を見る機会なんてなかなかないか ら、
目に焼きつけておかなくちゃ。
朝日も夕日と同じくらい綺麗で、
ただ一つ違うのは一日の始まりだというこ と。
今日も頑張ったぞ!!と充実感に浸れる夕日 より
今日も頑張るぞ!!と前向きになれる朝日の ほうが美嘉には必要かも…。
二人は手を繋いでそれぞれのテントへと戻 った。
????????????
枕元で鳴るうるさい音で目が覚め、 寝袋からむくっと起き上がる。
「美嘉ごめん!起こしちゃった?」
????だ。
「あ、????おはよう…今何時??」
「9 時だよ~!もう朝食の焼きそば作り始め てるよ?美嘉も行こう?」
????はいち早く、 テントから出て行ってしまった。
隣では口を開けて大きないびきをかきなが ら寝ている??。
しかも寝相悪いから美嘉の上に足のっかっ てるし!!
今日悪い夢を見たのはヤツのせいか…。 爆睡している??のほっぺを突き、
小声で「ありがとねっ」とお礼を呟きなが らテントを出た。
朝方に寝たせいで かなり寝不足。
寝不足な体に太陽の眩しい光はきつく、 外を出た瞬間に立ちくらみ…。
でもいいの。 優とラブラブできたから?
…ってノロけてる場合じゃなくて、 ??は大丈夫かな??
みんなは朝食の焼きそばを囲んでいる。
??が笑いながら野菜を焼いている姿を見つ けた。
優が美嘉に気付き手を振って来たので、 美嘉も少し照れながら手を振り返した。
「美嘉~おはよ!」
「ほら、焼きそば出来てるから食べろ食べ ろ?」
みんなのもとへ駆け寄って輪に入り、
お皿と箸を受け取って焼きそばを食べ始め た。
みんな、
昨日の事件についてはあえて触れようとし ない…
ただ一つ。
隣同士に座りイチャイチャしている??ちゃ んと????さん。
デリカシーのなさにとてつもなく腹が立 つ。
こいつら…??の気持ち考えろよ!!
隣にいた???がそんな美嘉の態度に気付き、 腕を引き寄せ耳元で言った。
「美嘉顔に出過ぎ!ってか睨みすぎ!」
いつの間にか苛立ちが顔に出ていたみた い。
美嘉はわざとらしい笑顔を作り、
再び焼きそばをつまみながら??の顔を見 た。
??は何事もなかったように笑っている…。
朝食を食べ終え、
寝ている??を無理矢理起こしテントを畳 む。
テントをキャンプ場のロビーに返しに行こ うと歩き始めた時…
「美~嘉」 後ろから走って来て隣に並んだのは??だ。
「??…」
「な~に心配そうな顔してんの!」 美嘉の背中を強く叩く??
??に何か言葉をかけてあげたいけど、 いい言葉が思いつかない…。
??は美嘉が持っていたテントの片側を持ち ながら再び口を開いた。
「今日の朝????さんと話したんだぁ。あ、 あたしが美嘉の携帯勝手に見ちゃったこと もちゃんと説明しておいたから!????さん と??ちゃん付き合うんだって!」
「そっか…」
あの二人、 付き合うんだ。
朝食時の二人の姿を思い出すと、 再び怒りが込み上げる。
これからは??ちゃんじゃなく??でいいや。 あんな男呼び捨てにしてやる!!
「あたしはもういいの。??ちゃんのことは 諦める!両想いには勝てないし、新しい恋 するんだぁ?だから気にしなくていいから ね!」
??が強がっているのはわかってるよ。
好きな人に彼女が出来ても そう簡単に諦められるわけないもん。
でも 強がらないと??自信が崩れちゃうから…
よく頑張ったねって… 辛かったねって言ってあげたいけど、 ??のプライドがあるから言わない。
??は強いよ。 美嘉なんかよりずっと強いよ。
「無理はしないでね」 一瞬気を緩めたのか悲しい顔をする??。
でもすぐにいつもの笑顔に戻り、 大きく頷いた。
大好きな人に他に大切な人が出来たとして も、
もう戻れないことはわかっていても… どこかで繋がっていたいと思ってしまう。
それは本当に辛くて苦しくて…
だけど小さくてささいな関係でもいいから 繋がっていたいと思ってしまうもの。
それが恋愛なのかもしれないね…。 きっと??もそんな気持ちなのかな??
持って来た荷物をトランクに詰める。 あっという間に過ぎてしまった、
波瀾万丈な一日。
今日この日を楽しかったと言えるか苦しか ったと言えるかは、 あと何年も先になってからわかること…。
この旅行で一つの恋が終わり、 そして一つの恋が始まった。
人生って何が起こるのかわからないね。
人の気持ちってその人自身にしかわからな いよね
この旅行がみんなにとって“青春”だった と言える日が来ますように…。
しまったのだろう。
第十八章 真実
車は家へと到着した。 いつも通り美嘉が最後。
今は一人暮らしも始めたから、
1番家が遠いわけじゃないけど…。
もっと優と一緒にいたいだけ。
「優ありがとね ? キャンプ楽しかったね っ!!」
「そうやな!いろいろあったけど楽しかっ たな」
二人は車を降り、 トランクから荷物を降ろし始めた。
トランクから取り出した大きい荷物を美嘉 に手渡しながら優は心配そうな顔で問う。
「あれ以来、変な物ドアにかけられてへん か?」
荷物を受け取り、
重かったので一旦地面に置いてから答え た。
「あー、なんかお弁当とかかけられてたけ ど捨てたよ!!多分誰かが間違えてかけてる んだと思うけど…」
お弁当を捨てたゴミステーションを覗く と、
そこにはもうない。
キャンプに行ってる間、ゴミが回収されて
「部屋の前まで送ったるか?」
「いや、大丈夫!!優も運転で疲れてるでし ょ??だから平気?」
「それならええけど…なんかあったら電話 しな」
二人は軽く抱擁をし、
車に乗り込んだ優はクラクションを二回鳴 らして去って行った。
美嘉は車が見えなくなるまで手を振った。 重い荷物を抱え、
階段を上り部屋を目指す
行きはあんなに軽く感じたのに、 帰りはやたらと重く感じる。
息切れをしながら部屋の前に着いた時、
ドアの前に散らばっている“ある物”を見 て、
その上に持っていた荷物を勢いよく落とし マンションを飛び出た。
マンションにいるのが怖くて近くのコンビ ニに駆け込み、 震える手で優に電話をかける。
この時かなり青ざめた顔をしていたことだ ろう。
?????????
『どないしたん?』
『優…今どこ??』
『まだ美嘉んちの近くにおるで』
『お願い!戻って来て欲しいの!お願い…今 近くのコンビニにいるから』
『すぐ行くわ!』
しばらくしてコンビニの外でクラクション が鳴ったので走って外に出ると
車の前には優が立っていた。
「何があったん?」
「あの…部屋…とりあえず一緒に部屋の前 に来て!!」
優を先頭に、 再び部屋の前へと向かう
「あの荷物の下見て…」
ドアの前にはさっき美嘉があせって床に投 げた荷物がそのままの状態で落ちている。
優はその荷物をゆっくり持ち上げ、 荷物の下にあった物を見て呟いた。
「これ…何やねん」 部屋の前に落ちていたのは
大量の使用済みコンドーム。
「やぁ…何これぇ…」 あまりの衝撃で
その場に腰を抜かしてしまった。
一体誰がこんなことしたの?? 誰かに恨まれてるの??
優はそれを素手でかき集め、 窓の外へと投げ捨てた。
そして美嘉の手から部屋の鍵を奪い、
強引に鍵を開けて荷物と共に体を持ち上げ て部屋の中へと運んだ。
「泊まってええか?」 優はゆっくり頷いた美嘉を持ち上げたまま
ベッドへと運ぶ。
電気とテレビをつけカーテンを閉めると、 優は美嘉の隣に座り恐怖で震える手を自分
の両手で包み込んだ。
「もう怖くないで。俺がおるからな。」
しかし震えは止まらない
入浴剤も石鹸もお弁当も間違えじゃなかっ たのかな…??
「明日バイト休みか?」
優からの問い掛けに美嘉は落ち着きを取り 戻し答える。
「ん…明日まで旅行って言ってあるから休 み」
「じゃあ明日俺美嘉んちで見張りしとるか ら。怪しいやつおったら捕まえたる!安心 せぇ」
「ありがとう…」 優の心強さに安心しながらも、
一体誰が何のためにやったのか… 疑問は深まるばかり。
気持ちも大分静まり、 優と手を繋ぎながら布団に入った。
今日もまた一緒に居られるのはすごい嬉し いけど…
早く解決してほしい。
この