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恋空 佚名 4446 字 3个月前

川の水は波とは違って、一度流れてしまっ たらもう戻っては来ない。

ヒロとたくさんここに来たよね。

初めてヒロが美嘉をここに連れて来てくれ た時、

二人だけの場所が出来てすごい嬉しかった なぁ。

二人でよく学校サボってここでお弁当食べ たり、横になったりしたね。

最後にデートした日、 ここで別々の道を歩み始めて…

ヒロの後ろ姿を 見送った。

……繋がってるのに 追い掛けなかった。

傷つくのが 怖がったんだ。

振り返らなかったヒロはどんな気持ちだっ たの?

別れてからも一人でこの川原に来て、

泣いたりヒロのことを思い出していたりし た。

何度も何度もヒロが来るかもしれないっ て…

待ったりもした。

美嘉のために自分を傷つけて、 一人でどれだけ苦しんだの??

とぎれとぎれ流れる川の音と懐かしい景色 を目に焼き付け、

家路へと歩き始めた。

果てしなく広くて、 さらさらとして汚れなき砂浜。

優しく癒される音で流れて、 何度も何度も戻って来て安心をくれる波。

一日の始まりと一日の終わりを実感するこ とのできる。

それが“海”

夏になれば勢いよく流れて、

冬になれば流れたり流れなかったりで毎日 不安にさせる。

一度流れたら進むばかりでもう戻っては来 ない。

一日の始まりも終わりも感じることは出来 ない。

でも夏になれば綺麗な花がたくさん咲いて 心を洗ってくれる。

それが“川”

ねぇ。 どっちを選べばいい??

どっちも好き。 どっちも大好き。

でも両方は選べないの。 両方選べば両方傷ついちゃうから。

一人は必ず傷つけてしまうことになる。 でも……

どっちかを選ばなきゃならないんだ。

ねぇ、

“海”と“川”

この先美嘉には どっちが必要なの??

どっちに行けば、 正しいって言われるの?

━2 月 9 日

今日の天気は あいにくの雨。

くるまった。

起きたら、 優は隣にいなかった。

…最近いつもいない。 まだほんのり温かい布団は、

ついさっきまで家にいた証拠。

授業に行ったのかな?? コンビニに食べ物買いに行ったのかな??

それにしても 最近悩んでばかりで 頭が痛い…。

毎日のように頭痛薬を飲んでいるせいか、 効き目もだんだんなくなってきた。

優柔不断な自分が とことん嫌だ。

なんとなく、 誰にも相談出来ない。

大切なことだから、

……だからこそ自分で答えを決めたいんだ。

あと一歩、 あと一歩踏み出す勇気があれば…

きっかけがあれば…。

布団を頭からかぶり、

…雨は嫌い。

だって外に遊びに行けないし、 じめじめしてるんだもん。

…雨の音は嫌い。

だって空が泣き叫んでる声のように聞こえ るんだもん。

雨の音を聞こえないようにするため 近くにあった md を md プレーヤーに入 れ、

リモコンで再生のスイッチを押す。

曲が流れ始めた。

この曲は、 浜崎あゆみの“who...” イントロが流れ始める。

………???

辛い時誰がそばに居てくれて 誰の肩で涙を流した? 喜びは誰と分け合って 誰と手を取り合って来た?

思い出しているよ…

二人離れて過ごした夜は月が遠くで泣いて いたよ

二人離れて過ごした夜は月が遠くで泣いて た…

本当の強さは誰が教えてくれて 優しさは誰が伝えててくれた? 誰がいたから歩こうとして 誰に髪を撫でてほしかった? 誰が諦めないでいてくれた? 忘れないよずっと…

道に迷った時そして 道が遠すぎた時に

一人呟いていたよ そんなものだと…

これからもずっとこの歌声があなたに届き ますようにと

これからもずっとこの歌声があなたに届く ようにと…

???………………… 曲を聞きながら

考えていた。

辛い時 一緒に泣いてくれて

楽しい時 一緒に笑ってくれてたのは…

強さや優しさをたくさん教えてくれていた のは…

髪を撫でてくれて、 手を繋いでいたかったのは…

これからもずっとずっと一緒に隣で歩んで 行きたいと思うのは…

曲が終わると同時に 立ち上がった。

この曲を聞いて 頭に浮かんだのは

ただ一人。 ただ一人。

……あの人だった。

これから一人を傷つけてしまうことにな る。

でも 決めたんだ。

悩んで悩んで決めたの。

この曲が 決断をくれた。

もう気持ちは 揺らいだりしない。

迷いはない。 後悔しない。 この気持ちを貫く。

…そう決めた。

何も持たず何も羽織らず部屋を飛び出た。 走って階段を

駆け降りる。

嫌いな雨の音さえも もう耳に入らない。

美嘉は今すぐに… あの人のもとへと行く。

雨の中、 傘もささずに共同玄関を飛び出る。

走り出したその時… ?????… 誰かにぶつかった。

「すみませ…」

「美嘉?」 顔を雨に打たれながらも顔を上げる。

「優…」

ぶつかったのは優。 優も傘を持ち忘れてしまったのか、

上着を頭にかぶせている

「傘もささないでどないしたん?」

そう言って自分が頭にかぶせていた上着 を、

美嘉の頭にかぶせた。

ぶつかった拍子にもともと緩かった薬指の 指輪がずれてしまい…

激しく降る雨でズレた指輪が滑り落ち、

悲しい音を立てコンクリートの地面に転が った。

“pledge 誓い 誓約…”

「あ…指輪…」

地面に転がった指輪を拾おうと右手を伸ば した時

優は美嘉の右腕を 強く掴んだ。

「拾ったらあかん」

優は何かを 感じ取っている。

美嘉の決意に 気付いている。

「でも…指輪が…」 その時、

優が手に持っていたコンビニの袋の中にプ リンが二つ入っているのを見た

美嘉が元気ないから…

美嘉が大好きなプリンを二人で食べるため に、

コンビニまで買いに行ってくれてたんだ ね…。

優は美嘉の肩を 両手でがしっと掴む。

「クリスマスの日な、海で元彼どんなやつ やったん?って聞いたやん」

「うん…」

「あん時美嘉が元彼を悪く答えた時そこが 今でも好きって言い方やった」

言葉が出ない。 何を言っても

言い訳に聞こえてしまいそうだから…。

「あん時から俺じゃダメなんやと思って た」

雨の音のせいで 聞き取りにくい声。

優は負けずに 大声で続ける。

「俺な、昔好きやった女の背中押してやれ へんかったこと今でも後悔しとんねん」

「…うん」

知ってたよ。

やっと言ってくれたね。ずっと待ってた よ…。

「好きな女の幸せ願えなかった俺は最低 や」

そんなことない。 優は… 優は正しいよ。

体を強く抱き寄せる優。 でもね、

美嘉は優を抱きしめ返すことは出来ない の…。

雨で濡れた服が冷たくて 優のぬくもりが感じられない。

雨の音で、 優の鼓動さえも聞こえない。

「美嘉は俺のこと好きやった?」

抱きしめられたまま 頷く。

「俺と過ごして楽しかったか?」 今は何度も何度も強く頷くことが

精一杯だった。

優は抱きしめていた体をそっと離し、

美嘉の濡れた髪をくしゃくしゃ撫でて微笑 んだ。

温かい手。 頭を撫でるこの手が

大好きだった。

優の髪の毛から垂れる雨の雫が、 美嘉の顔にポタポタと落ちる。

「俺、美嘉のこと今でもめちゃめちゃ好き やで。これからもずっと好きやと思う」

「優…」

「せやから美嘉には幸せになってほしいね ん。好きな女には誰よりも幸せになってほ しい。それが俺にとっての幸せやから…」

そして優は 美嘉の背中を 強く押した。

「行ってこい!」

背中を押された反動で少しだけ前に進み、 ゆっくり振り返る。

降り止もうとしない雨。

雨で髪も服もびしょびしょに濡れた優の 姿。

戻って しまいそう…。

後ろへ一歩踏み出した。 その時…

「行け。戻って来たら、嫌いになるで!」

激しさを増す雨の音が、優の心の叫びに聞 こえる

戻っては いけない…。

もう戻らない。 同じ過ちは

繰り返さないんだ。

雨と涙で ぼやける優の姿。

でも確かに見た。

優が両手で ピースしているのを…。

優が前に教えてくれた ピースのおまじない。

【ピースの意味は二つあるんやで。一つ目 は、辛い時とか勇気出ん時ピースすると元 気が出て笑顔になれる。

二つ目は、誰かに向かって頑張れって応援 する時にピースをすれば、された人は成功 するんやって!】

優はどっちの 意味なのかな。

辛いから 笑顔になれるため…??

それとも美嘉に頑張れって言ってくれてる の…?

両手でしてるから、 両方の意味なの??

そのまま 走り続けた。

優は過去に好きな人の背中を押してあげら れなかったから、 美嘉の背中を強く押してくれたんだね。

美嘉がヒロのもとへ戻ってしまうことを何 となく気付いていて、 それでも何も言わずに守ってくれていた。

どんな美嘉でも好きでいてくれて…

1番に美嘉のことを考えてくれていたよ ね。

優に何度も助けられた。 その手に助けられた。

優の手は美嘉の涙を乾かし、 怒りをおさえ、 安心を与えてくれて…

あなたの手は やっぱり 魔法の手でした。

優にたくさんのことを 教えてもらいました。

勇気も希望も… 前へ進むことを

教えてもらいました。

……優。 優がさっき言ってくれた言葉は、

本音ですか??

本当に 優は幸せですか??

…ただの 強がりなのかな。

でもね…

優が本当にそう思って言ってくれたことだ ったと信じます。

本音だと… 後悔してないと 信じます。

優、本当にごめんね。 自分勝手な美嘉を…

最後まで支えてくれて ありがとう。