に…」
たくさんの人達がヒロに向かって声をかけ る。
かわいそう??
ヒロ寝てるだけなのに。別にかわいそうじ ゃないよ。
……現実逃避。 今の美嘉にはこの言葉がピッタリだろう。 でも、しょうがないよ。今だけは許して…。
椅子に座ってボーッとしていると、 後ろから肩を叩かれた。
振り向くと、 そこにいたのは黒いスーツを着た????。
その隣には??…。
「????から全部聞いた。…あたし…」
??の言葉を最後まで聞かず、 椅子から立ち上がり走って外に飛び出した
今は何も 聞きたくない。
「ごめんね。あたし許してくれるまで謝る から…連絡するから!」
??の叫び声を無視し、 無我夢中で走った。
着いた場所は病院。 ヒロが入院してた病院。
うつろな目のまま 階段を駆け上がる。
……ヒロがずっと入院していた 302 号室の 前。
ここに来れば 元気なヒロに会えるような気がして…
この病室に 何度もお見舞いに来たよね。
美嘉がこの病室のドアを開けるたびヒロは 嬉しそうに笑ってくれたの。
????
「失礼します」 ドアを開いた。
誰もいない。
あれ?おかしいな?? つい最近まで…
クリーンルームに移動するまではヒロここ にいたのに。
再びドアを閉め、 もう一度ノックをして ドアを開ける。
????
「失礼します」 一瞬だけ見える
ヒロの嬉しそうな笑顔。
しかしすぐに 消えてしまう。
飾られていた花も 折り鶴もない。 布団も綺麗に 畳まれたまま。
何度も何度も 繰り返した。
ヒロが現れるまで…。
「やめろよ!」
何度も何度もノックをしてドアの開け閉め を繰り返し、
いるはずのないヒロの姿をひたすら探す美 嘉の腕を掴んで止めたのは…
????だ。
美嘉が??の言葉を遮り走って病院に向かっ た時、
後ろから追い掛けて来たのだろう。
????の顔を一瞬ちらっと見たが、 美嘉は再び同じ行動を繰り返し続ける。
「やめろって言ってんだろ!」
????の言葉に 耳を傾けない。
聞こえてるけど… わざと聞こえないフリをしている。
「ヒロが生きてたら美嘉のそんな姿見たら 悲しむだろ…」
????の言葉に 手を止める。
……生きてたら?? 生きてたらって??
現実が襲って来る。 まるで津波のように、 激しく…恐ろしく。
????がポケットから 携帯電話を取り出した。
何回かボタンを押し…
「…これ読め。」
そう言って美嘉に携帯電話を差し出してい る。
震える手で????から携帯を受け取り、 画面を見た。
メール受信:ヒロ
10 月 14 日
今から 4 日前 ヒロが????宛てに送ったメール…。
携帯電話を握りながら????の顔を見ると、 ????は深く頷いた。
ボタンを押し、 受信 box を開く。
《????へ。俺はそろそろ死ぬかもしれねぇ。 なんとなくわかる。 俺が死んだら美嘉が一人になる。
本当は美嘉を一人にしたくねぇし俺も死に たくない。 だけどこれはしょうがねぇんだ。
俺が死んだら寂しがり屋の美嘉はきっとす げー泣くだろうしすげー落ち込むと思う。 だからもし俺が死んだら????、お前が美嘉
を支えてやって欲しい。 美嘉に現実を教えてやってくれ。
そしてもしいつか他に美嘉を守ってくれる 男が現れたら、そいつに美嘉をよろしくっ て言ってやって欲しい。
俺が美嘉を守ってやれないのがすげー悔し いけど俺のせいで美嘉が一人で寂しがって いる姿を見るのが何より辛いから。 最後に????お前は最高のダチだった。 幸せになれよ!いろいろありがとな》
全て読み終えて、 ????に携帯電話を返しながら言った。
「…このメール変だね、ヒロ死んだりしない のにね…」
信じてないはずなのに…
気持ちとは裏腹に 涙が止まらない。
????は美嘉の肩を強い力で揺すり 病院中に響く大声で叫んだ。
「しっかりしろよ!あいつは死んだんだよ。 ヒロは死んだんだ!」
「死んだ…?」
「そうだよ。もう戻って来ねぇんだよ、ヒ ロは死んだんだよ!」
????の言葉で、 ようやくヒロの死を 実感する。
ヒロが死んだ。 ヒロは死んだんだ。 もう会話は出来ないんだ
もう温もり感じることは出来ないんだ。
そっか…。 ヒロは死んじゃったんだね…。
もっと一緒に 笑いたかったよ。
もっと一緒に 生きたかったよ。
その場に座り込む。
「戻るぞ」
美嘉の手を引く????。
しかしヒロの死を実感した今、 お葬式なんか
出たくない…。
「やだ行きたくない…」 ????はその場を動こうとしない美嘉を睨み
強引に起こした。
「行かねぇと一生顔見れなくなるんだよ」 ????の目には涙がたまっている。
????も 辛いよね悲しいよね。
でもヒロにメールで 美嘉を支えてって頼まれたから…
ヒロの最後のお願いを聞いてあげるために 一生懸命なんだ。
起き上がり
????と共に再び告別式の会場へと向かっ た。
ヒロが入った小さな箱は火葬場へ運ばれよ うとしている。
「美嘉ちゃんも一緒に行こう?」 ??さんに手を引かれ、
????と共に火葬場へと向かった。
火葬場に着き、
近くにあったコンビニでたくさんのみかん
キャラメルを購入した。
……最後の別れ。 小さい窓から覗く
痩せ細ったヒロの顔。
綺麗な花や大好きだったお菓子に囲まれ て…
今にも 目を覚ましそうなのに。
「またいつか会おうな」
????はヒロの顔を見ながら涙を流してい た。
美嘉はヒロの顔の横に、箱から出したみか んキャラメルを
たくさん入れた。
【このキャラメル食うと美嘉から元気もら える気がするわ!】
ヒロの声。
…なぜか今よみがえる。
「ヒロ辛かったでしょ。よく頑張ったね。 苦しかったよね。ヒロ強いもん。良く頑張 ったね…」
その時、 ヒロとの思い出が
走馬灯のように頭を駆け巡った。
????からの一本の電話でヒロに出会った。 初めて遊んだ日に
一つになった。
ヒロには彼女がいて… 諦めようと思ったんだ。
それでもヒロは 美嘉を選んでくれたんだよね。
美嘉がレイプされた時…自転車で汗かきな がら探しに来てくれたっけ。
黒板に美嘉のアドレスや番号が書かれた時 も、
守ってくれたよね。 かっこよかったー。
ヒロは美嘉が困ったりピンチの時はいつも 助けに来てくれて、 スーパーマンみたいだったよ。
赤ちゃんが出来た時、 産もうねってすごい喜んでくれて…
親に反対されても何度も何度も頭下げて 頼んでくれた。
あの頭下げたりするのが苦手なヒロがだ よ??
信じられないよね。
流産した時も 一日中祈っててくれた。
頭に雪乗せて体震えながらも、 お守りを握っていた。
二人でさ、 鼻水出しながら 泣いたよね!!
ヒロは覚えているかな?
二人の場所だねって言って、 川原に連れて行ってくれた。
あの川原で学校サボってイチャイチャした りしてすごい楽しかったなぁ。
……突然の別れ。 去って行った後ろ姿。 それはヒロの精一杯の 優しさだったと知った。
ヒロ、 どのくらい苦しんだの?
あの時必死で追い掛けたら、 何か変わってたのかな?
今とは違う結果だった?
ヒロには彼女が出来て、 美嘉にも優と言う彼氏が出来た。
お互い別々の道を 歩み始めたんだ。
卒業式の日に 指輪を返して…
握手した手が離れた。
ねぇ、
ヒロはいつから長く生きられないことを知
っていたの??
その時はもう 気付いてた??
クリスマスの日に????に会って、 真実を知った。
美嘉は… ヒロを選んだ。
ヒロは自分が長く生きられないのを知って いながらも、
戻って来いと言った。
美嘉もそれを気付いていながらも、 ヒロを選んだの。
二人とも 奇跡を信じていたんだ。
いつか元気になってまた前のように戻れる って…
信じてた。
ヒロと戻ることが出来てから約一年半。 すごい楽しかったよ。
テレビ電話使って 赤ちゃんのお参りしたよね。
プチ結婚式もした。 ヒロのスーツ姿かっこ良かったなぁ!!
指輪もね、
左手にまだ光っているんだよ。
写真も撮ったし… ヒロ、美嘉の姿ばっかり撮ってんの!
美嘉の姿なんか撮ってもおもしろくないの にね!
お見舞いに行くたび、
ヒロが笑顔で迎えてくれたの嬉しかったな
ー。
おいしそうにみかんキャラメル食べてる 姿、
子供みたいでかわいかったなー。
外泊した時、 ヒロが初めて弱音吐いたんだよね。
あの時ね、 嬉しかった。
嬉しかったって表現は ちょっと変かな?
でも嬉しかったんだ。 強気なヒロが美嘉だけに弱音吐いた。
美嘉だけに…。
ねぇ、 今思い出すのは楽しいことばかりだよね。
これって、川原で別れた時と同じだね。
あの時も思い出すのは楽しいことばかりだ った。
ヒロの笑顔ばかりだった ヒロが夢の中に会いに来た時…
川原の別れとは 違うって言ってたよね。
どーゆー意味なのかな?いずれわかる日が 来るかな…??
最後に会った日、
ドアが閉まるまで笑顔で手を振っていたヒ ロの顔が忘れられません。
あの時何かを予感して戻っていたら、
こんな結果にはなってなかったでしょう か。
それとももっと辛くなっていたのでしょう か。
ヒロに毎日会えることは生き甲斐でした。
でもそれが無くなってしまった今、 明日から何を生き甲斐に生きたらいい??
泣いた時誰に涙を拭いてもらえばいい? 寂しい時誰の胸に飛び込めばいいの??
一人は嫌だよ…。 一生会えないなんて、
そんなの