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恋空 佚名 4562 字 3个月前

嫌だ。

「ヒロ…死ぬなんて嫌だ…追いてかないで よ…離れたくない…ヒロ」

さっきまでの冷静な自分はもういない。 我慢していたものが

全て溢れ出す。

離れたくないの。 もっと一緒に生きたい。ヒロ…

小さい窓から見えるヒロに助けを求めるか のようにすがりついた。

ヒロがいなくなってから初めて泣き叫ん だ。

泣き叫ぶことによって

ヒロが死んでしまったことを認めるのが怖 くて…

「ヒロ…ヒロ嫌だ…美嘉一人じゃ生きてい けないの…」

どんなに泣いても ヒロは戻って来ない。

もしかしたら空の上でそんな美嘉の姿を見 て笑っているのかもしれない。

小さい窓はパタンと閉められ ヒロの顔が見えなくなってしまった。

ヒロ… ヒロ…

幸せ過ぎて 涙が出た日もあった。 孤独の怖さに 涙が出た夜もあった。

こんなに自分が泣き虫で弱かったなんて… あなたに会うまで気付かなかった。

あなたの優しさに 自分がちっぽけな人間だって感じた。

ねぇ、一人じゃ生きていけないの。 ヒロに出会って、

一人じゃ生きていけなくなったの。

美嘉のために 自分を傷つけ…

一人で涙流していたの?

こんなに世界は広いのにあなたに出会って あなたを愛して…

あなたに愛された。 たった一人

あなただけ。

…偶然?? それとも運命かな。

好きでした。 大好きでした。

恥ずかしいくらい 大好きでした。

自分が思ってた以上に 大好きでした。

いつかはこうやって別れてしまう日が来る のはわかっていた。

だけど…

あんなに誰かを愛して、あんなに誰かに愛 されたのは初めてだったよ。

ねぇ、ヒロ?? 見える??

こんなにたくさんの人がヒロのことを想っ て泣いている。

ヒロはかわいそうなんかじゃないよね。 こんなにたくさんの人に愛されて、

幸せだったよね??

精一杯生きたもん。 一生懸命生きたもん。

幸せだったよ…。

…夢の中だったけど 最後に挨拶に来てくれてありがとう。

強くて 口が悪くて ぶっきらぼうで 短気

あなたは そんな人でした。

でも本当は

優しい心を持ってて 寂しがりやで 強がりで

一人じゃいられないこと

知ってた。 知ってたんだ。

ヒロ、 頑張ったね。 辛かったね。 よく闘ったね。

しばらく経ってヒロは、小さくて白いかけ らと

灰になって出てきた。

ヒロの目?鼻?唇。 手?足。

…全て無い。 これが現実。

わかってる… もう無いんだ。

??さんが 一本の割り箸と小さい四角い箱をくれた。

ヒロの左手にあたる場所に、シルバー色の 何かがある。

形はほとんど わからない。

でもね、 なんとなく指輪のような気がするんだ。

そのシルバーの何かを割り箸で掴み、箱の 中にコロンと入れた。

白いかけらも 一緒に…。

人間ってはかないね。 つい最近まで元気に動いていても、

何日か後には形がなくなって白いかけらや 灰なってしまったりもすることもあるんだ から。

…はかないよ。

箱を大切に握り、 ????の車に乗って 家に帰った。

「ただいま……」

「お帰り、大丈夫…?」 心配そうな顔で玄関まで走って来る

お父さんとお母さんとお姉ちゃん。

三人とも告別式に行ったのか黒い服を着て いる。

「ん、大丈夫…」 箱を握りしめたまま階段を駆け上がって

部屋に向かった。

布団にくるまり 寒いわけではないのに なぜか体がガタガタと震えている。

???????

玄関からは チャイムの音。

小さい音でも ビクッとしてしまう体。

お母さんが誰かと何かを話している様子 だ。

音が静まると同時に、 階段を上ってくる音が聞こえ… その音がだんだんと近づいて来た。

部屋のドアが開く。

「美嘉…?」 真っ暗な部屋の中

布団にくるまりガタガタと震えている美嘉 の姿を見て心配そうに言ったのはお母さん だ。

「……お母さん」

「あのね、今ヒロ君のお姉さんが来て…」 そう言って何かを

差し出している。

「これ、美嘉に渡してって言われたんだけ ど…」

お母さんが手に持っていたのは、 現像した写真と

一冊のノート。

お母さんはそれを 机の上に置いた。

「写真はね、美嘉が忘れて行ったからって… あとこのノートはね、ヒロ君の病室の枕の 下から出てきたんだって。」

お母さんはそう言い残し部屋から出て行っ てしまった。

今美嘉が一人にしておいて欲しいこと… きっと察してくれたのだろう。

????

布団から出て、

机の上に置かれた写真とノートを手に取っ

た。

小さなスタンドのぼんやりとした光を当て 写真とノートを照らす。

少し破けたぼろぼろの 一冊のノート。

今はこのノートの中身を見るのが怖い。 ノートを避け、

写真に手を伸ばした。

一枚一枚 じっくりと見つめる。

ヒロの写真 全部笑ってるね。

ヒロがいなくなる前の日に二人で撮った写 真。

ヒロだけが笑っている。どうして美嘉は笑 ってあげられなかったのかな。

突然撮られたってこともあるけど…

何か不吉な予感を感じていたのかもしれな いね。

ヒロは… ヒロは何か感じてたかな??

二人でうつってる写真を並べ、

今日火葬場で??さんから受け取った小さな 箱をパカッと開けた。

すぐに壊れてしまいそうな白いかけら。 ヒロの骨のかけら。

白い骨のかけらとヒロが笑っている写真を 何度も見比べる。

この白くてちっちゃいかけらがヒロなん だ。

ヒロの姿を見ることは もう写真でしか無いんだね。

奇跡は 起こらなかったのかな?

いや…ヒロがここまで生きてくれたこと。 それが奇跡なのかもしれない。

枕に顔をうずめながら声をあげて泣いた。 まだ涙は

残ってたんだ。

時間が戻ればいいのに。まだ伝えたいこと がたくさんあるのに。

部屋の布団を持ってお姉ちゃんの部屋へ行 った。

「お姉ちゃん一緒に寝てもいい…??」 一人でいるのが嫌だったんだ。

誰かと一緒にいたい。

机に向かって勉強をしていたお姉ちゃん は、

勉強する手を止めて答えた。

「…もちろんいいよ!」 持っていた布団を敷き、

ゴロンと転がる。

「私もそろそろ寝ようかな。」

部屋の電気を消し、 自分のベッドへ入るお姉ちゃん。

「美嘉、寝れる?」

「大丈夫……」 どうにか…

頑張って寝なきゃ。

目が覚めたら 全てが夢かもしれない。

でも、 これは現実。

………そんなの嫌でも わかってる。

だからこそもし寝て何もかもを忘れたとし て、

朝起きた時に再びヒロの死を実感するのが 怖くて…

空はいつの間にか 明るくなっていた。

どんなに辛くても 朝は来るんだよね。

am5 時。 布団から出て階段を下り

居間へと向かう。

「美嘉、早いな。」

すでに起きていた お父さん。

「お父さんも早いね!」 泣きすぎて腫れてしまい開きにくい目を、

無理矢理開いた。

「お父さん仕事あるからな。」

「頑張ってね!!」

無理に笑顔を作ると、 お父さんは美嘉の肩をポンッと叩いた。

「美嘉も頑張るんだぞ」 お父さんの優しい言葉に心が緩む。

「頑張る!!」

そのまま洗面所へ走り、 冷たい水で顔を洗った。

着替えるために 部屋へ戻る。

昨日は部屋の中が暗くて気付かなかったけ ど、

部屋の隅っこに淋しげに置いてある 編みかけの帽子。

ヒロごめんね。

渡せなかった。 間に合わなかった。 ごめんね。

完成間近の帽子の毛糸を一度ほどこうとし た手を考え直して止めた。

編みかけの帽子と ヒロの骨が入った 小さな箱。

そして昨日??さんが届けてくれた一冊のノ

ートをかばんにつめて、 急ぎ足で家を出た。

朝の空気は爽快で…

ヒロがもういないなんてまるで信じられな い。

またいつもの一日が 始まる。

これからお見舞い行ってヒロに会って… そんな感じなのにね。

急ぎ足で向かった場所。

それは川原だ。 今日来ないと、

もう一生来れないような気がしたから…。

辛いけど、 それでも受け止めるしかないんだ。

坂を降り 草の上に腰を降ろした。

太陽は雲で 隠れてしまっている。

??????と流れる 川の音。

安らげる音。 今は悲しい音に

聞こえる。 ヒロの泣き声のように。

最後にここに来た時、 隣にヒロがいたね。

一つに繋がったね 一緒に手を繋いで

空を見た。

流れる一粒の涙も…。

神様にお願いしたのに。ヒロを連れて行か ないでってお願いしたのに…。

ヒロがいない世界なんかつまらない。 生きていく意味がない。

一旦かばんから取り出し開きかけたノート を、

かばんの上へ置いた。

まだ見る勇気がないの。

ゆっくりと立ち上がり、 流れる川の前へと 歩き始める。

…ここに飛び込めば、 ヒロに会える?

この川は ヒロに繋がってるの?

美嘉が死んだら、 ヒロに所に行けるの?

ヒロが見てたら 怒るかもしれない。

だけど、 だけどね。

ヒロのいない世界は 何も輝かない。

ヒロがいたから、 何もかもが輝いていた。

この色褪せた世界で、

何を頼りに何を求めて生きていけばいい の??

ヒロに会いたいの。 ヒロの所に行きたいの。

美嘉はこれから ヒロの後を追います…。

決心をし、 川を見つめながら深呼吸をした時、 遠くから声が聞こえたような気がした。

【あなたは一人じゃないよ。大好きな家族 も、大好きな友達もいる。あなたは一人じ ゃない】

この声は赤ちゃん? 赤ちゃんなの…??

でもね、 ヒロのそばにいたいの。ごめんなさい。

美嘉もヒロと赤ちゃんの所に行きたいん だ…。

そして川へ飛び込んでしまおうと足に力を 入れたその瞬間、 二羽の鳥が目の前を横切り、 それに驚き草の上にしりもちをついた。

しりもちをついたまま、空を見上げ